真、部屋を片付ける
屋根裏からドールハウスを下したはいいが、置場がないことに気が付く。
4LDKの一軒家に独り暮らしだが、意外に空きスペースはないものだ。
娘の部屋は触れられない。寝室は半ば私の書庫になっている。
とすれば、リビングだろうか。
「あの猫又に狙われてしまいますわ」
「あ、でも、弓と矢があるよー」
「わたくしの弓道の腕を見せる時が来たようですわね」
一応、無害な猫なのでおイタはやめてほしい。
「にしても、せっかく用意していただいた部屋が埃だらけですわ」
「よーし、掃除だー」
「掃除検定120段の腕をお見せいたしましょう」
ふたりが、ドールハウス備え付けの箒と掃除機を使って掃除を始めた。
あの小さい掃除機はおもちゃではなかったか?
「わたくしは福の神。触れたものをグレードアップさせるなんてお茶の子さいさいですわ」
「○イソンも真っ青のきゅーいんりょくー!」
「あぁ、貴女が触れた箒が粉々に崩れてしまいましたわ」
「貧乏神のしんこっちょー!。集めたごみも、はい消えたー」
「粉々になってしまった箒はあとでわたくしが元に戻しておきましょう」
なんだか楽しそうなふたりに感化されたのか、私は、数か月ぶりに掃除機を取り出した。




