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真、福の神を拾う
貧乏神のビーちゃんを胸ポケットに押し込み、私はコンビニに来ていた。
独り暮らしだと、炊事が一番大変だ。
洗濯はまとめられる。掃除は休日にできる。だが、飯は毎日食わねば生きていけない。
勤めながらでは、毎食用意するほど時間がない。
無意識に手にしたサラダのパックに、会社でよく見かけるような女性が乗っていた。
眼鏡がきらりと光るお局様によく似ている。
「ごきげんよう、福の神よ。フーちゃんって呼んでもよくってよ」
棚に返そうかと思ったら泣かれたのでやむなく購入した。
「あ、ふーおねーちゃんだー」
胸元からビーちゃんが顔を覗かせた。
「あら、競争では貴女に負けちゃったのね」
「走るのは負けないのー」
「それ以外では、負けなくってよ?」
私を余所に盛り上がるのはやめてほしいのだが、ま、会社の飲み会と同じか。