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真、彼氏と会う

 リビングのテーブルを挟んで私と彼。娘は珈琲の用意をしている。

 彼は膝に手を当てたまま、俯いている。左ほほが腫れているように見えるが。

 娘の話では、彼も親に話をしに行ったということだが。ふむ。ひと悶着あったようだな。

「はい珈琲。お父さんはミルクだけだったよね」

 とコリと置かれたマグカップ。私専用のものだ。

 娘が生まれる前から、割れることなく使い続けていたものだ。

「このカップでよかったんでしょ?」

 うむ、と頷く。

 彼の前にもカップを置き、娘がその横に座った。

 カップを手に取り、口をつけながら、並んだふたりを見た。

 このテーブルに三人座るのは、久しぶりだった。もうないかと思っていた。

 娘は何気なく珈琲を入れていたのかと思っていたが、ふたりの肩がやたらと固く見える。

 まぁ、仕方がないとは思う。

 ふたりの立場からすれば、やってはいけないことに思えるのだろう。

 さて、どう切り出したらよいものか。

 こんなこと、社会でも教えてはくれなかった。

 ふと、彼が顔をあげた。

「その、ぼく、きちんと責任はとります、結婚、します」

 戦慄く彼の口が、誠実さを伝えてくれる。

 うむ、先手を取られてしまった。

「あ、あたし、大学やめて、子供産んで、ちゃんと育てるから!」

「ぼ、ぼくも大学を退学して働きます!」

 前のめりなふたりに、珈琲がさらに苦く感じた。

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