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真、娘からの一報を聞く

 ふたりがいる生活は、とても賑やかだ。家の中でもトラは馬車替わりで、まさに馬車馬のように動かされていた。

「大きすぎますわね」

「老眼でもくっきりはっきりー」

 どこから探し出したのか、大きな絵本を開いて、その上でなにやら座り込んでいるふたり。

「はっきり申すのも、時と場合によりますわよ?」

「おじいちゃんでもすーらすらー」

 まさか私のことではあるまいな。

 うむ、インスタントではあるが、今日も珈琲が旨い。

「ふーちゃん、これなんて読むのー?」

「これは、灰被りと読むのですわ」

「さっすがふーちゃん、あったまいいー」

「ふふ、勉学は淑女の嗜み。知識は色々なものの、その先を見せてくれる道具なのですわ」

 ふむ、確かにその通りではある。無駄と思われる知識も、関係ないところで繋がっていたりもするものだ。

「ふーちゃんこれは?」

「突撃一番、ですわ」

「じゃあこれは?」

「ペルソナ、ですわ。想像上のナニカを示す時に良く使われますわね」

「おおおー」

「言葉の意味知っていると、名前の裏にあるものも見えたりしますのよ?」

 仲良きことは、いいことだ。

 このふたりを、妻も見れたらよかったのに。

 考えても仕方がないことだが。

「ジリリリリリ-ン」

「あら、電話ですわ」

「ビーちゃん式呼び鈴、ジリリリリ-ン」

 私の携帯が鳴っている。休みだというのに会社で何かあったのだろうか?

「あ、もしもし、私だけど」

 珍しいことに、娘からの電話だ。久しぶりに帰ってくるのかも。

「お父さん、あのね、その、あたし、妊娠、しちゃってさ……」

 しっかり持っていたはずの携帯が、ゴトンと落ちてしまった。

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