平安 徒然小話③
※ほのぼの話。本編とは、全く関係ありません。
「何見てるの?」
竜杏が、縁側に座って何かを見ているタエの手元を覗いた。
「友達と撮った写真を見てました」
「へえ」
タエの隣に座って、竜杏もスマホを見る。タエが笑顔で、学校のクラスメイトと一緒に映っている。
それを見て、竜杏は眉を寄せた。
「距離、近くない?」
「へ?」
スマホの小さい画面に、タエと涼香、稔明やクラスの友達がひしめき合って入っているので、隣の人物との距離が近いのだ。平安時代では、ありえない光景だろう。
「まぁ、仲が良いんで。未来では、こんな感じですよ?」
「ふぅん」
画面を睨む。
「この男、タエを見てない?」
指を差した男子生徒は、どことなく、タエの方を見ているようだった。タエは首を傾げる。
「そうですか? この人は、隣の涼香ちゃんを見てると思いますよ。彼女、学校でも指折りの美人なんで」
「……そう」
とりあえず、タエは全く気にしていないようなので、胸を撫でおろした。タエは友人の話を楽しそうにするので、竜杏はうんうんと頷きながら彼女の笑顔を眺めていた。
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