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月夜の代行者  作者: うた
第三章
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平安 徒然小話②

※ほのぼの話。本編とは、全く関係ありません。




「竜杏、ずっと気になってた事があるんだけどよ〜」

 酒を飲みながら、貞光がおもむろに聞いてきた。

 竜杏の屋敷で、竜杏、貞光、晴明、藤虎の四人が、酒とつまみを味わいながら、他愛もない話をしている。いわゆる、女子会ならぬ男子会だ。タエとハナは、自室で休んでいる。

「何ですか?」

 竜杏が、ちらりと貞光を見る。



「ハナ様は“ ハナ殿”なのに、何でタエちゃんは“ タエ”って呼び捨てなんだ?」



「……」

「あ、それ、私も気になってました!」

 動きが固まる竜杏。藤虎が目をキラキラさせて、貞光の援護射撃をした。

「私は殿を付けているぞ。神の使いを呼び捨てには出来んからな」

 晴明はニヤニヤしながら、上等の酒を煽る。

「別に、特別な意味はないけど。貞光さんだって、ちゃん付けじゃないですか」

 眉を寄せて、竜杏が言った。

「呼び捨てにはしてねぇぞ? ガチで神の使いだったから、やべぇ、って思ったけど。タエちゃん気にしてねぇみたいだったから、そのままだわ」

 ははは、と笑っている。

「俺もそんな所ですよ。最初は変わった人間だったんで、こっちが上だと思わせる為に――ですかね。もうその呼び方で慣れたんで」

 酒を飲む竜杏を見ながら貞光は、ふぅん、と頷くと、殊更ニカッと笑って言った。



「じゃあ、いつからタエちゃんに惚れたんだ?」



「ぶはっ! ゲホッ、ゲホッ!」

 貞光のストレートな質問にむせた竜杏。酒が気管に入ったようだ。

「そんな照れるなよぉ♪」

「あんたが変な事言うからでしょう……。ゴホッ」

「えー? 友人として知りたいだけなんだよ」

「ただ、からかいたいだけでしょう」

「言う気ないの? いいもんね。こっちには全てを知る藤虎がいるもんねっ!」

 貞光は、藤虎とがっちり肩を組んで離さない。

「なっ!」

 初めて焦りの色を見せる竜杏。

「言うなよ、藤虎」

 じろりと睨まれた藤虎は、苦笑した。

「主の命令ですので……」

「俺、藤虎の事かっこいいって言ってた女房、知ってるぞー」

「えっ!?」

 藤虎の目つきが変わった。

「ならば、その者との相性を占ってやろう」

「本当ですか、晴明殿!?」



 藤虎、陥落。



 もう為す術もない竜杏。ワイワイと盛り上がる三人を横目に、酒を煽って顔が赤くなるのを誤魔化していた。


読んでいただき、ありがとうございました!

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