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黒騎士団と7つの大罪  作者: 深淵を覗くとき深淵はそんなこと気にしてない
1章 庭師殺人事件
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1-7 裏庭/ロックス邸

 裏庭の入り口にある楕円形のアーチ。それは色とりどりの花で美しく飾られている。そこを抜けた先に広がる組まれた足場と張られた白い布。庭園業者は黙々と改装作業を行っていた。


 殺人現場はアーチから少し離れた場所だった。芝生の上に広がる血跡。その周囲にはポタポタと垂れた血跡も残っていた。


 「どうやらここで刺した後、裏口から出て行ったようですね。」

 ローズが血痕の向かう先を確認する。


 「辿ってみましたが途切れていました。付近に凶器らしき物も見あたりません。恐らく犯人が持ち去ったのでしょう。」

 そう言って肩をすくめるフェイ。


 ローズは何かを見つけ指を指した。

 「ここ見てください。血の一部に毛が混じっています。」


 ローズは手袋をして毛を掴むと、小さいビニールに入れた。ちょっといいですかとビニールを受け取り、まじまじと確認するフェイ。


 「長いですね。髪の毛でしょうか。しかも赤毛。」

 

 「すぐに赤毛の長髪を探させましょう。」

 手袋を外し、ヒマリに電話を掛けながら黒騎士団へ戻るローズ。じっと工事現場を見ていたフェイもその後を追った。


 大通りから少し離れた住宅街。そこに被害者の自宅はあった。隊長が2回ドアをノックすると、返事と共に少しだけ扉が開いた。チェーンロック越しに顔を出すやつれた様子の女性。その向こうからは「ママー、おきゃくさま?」という元気な女の子の声が響く。


 「こんにちは、黒騎士団所属クラウスです。こちらは同じくアイク騎士。いくつか質問があって参りました。少しだけお時間よろしいでしょうか?」


 そういうと隊長はポケットから騎士のエンブレムを取り出し、女性に見せる。槍と盾を模した黒騎士団のエンブレムは見せることも見ることも珍しい。


 黒…?と呟きつつ怪訝(けげん)そうな顔をした後、一度扉が閉まり再び開いた。


 「どうぞ、散らかってますが。」

 そう言って室内へ促す女性。案内されたダイニングには机が一つと椅子が4つ、そのうち一つは子供用だった。

 隊長とアイクは促されるままに椅子に座る。女性も落ち着かない様子で座った。

 

 「ご主人についていくつか伺いたい事があるのですが」

 

 そう言って隊長はリビングで遊ぶ女の子へと目を向ける。何かを察した女性は子供へ声を掛ける。


 「クレア、少しだけ2階で遊んでてくれる?後で美味しいクッキー持っていってあげるから。」

 「えっ!クッキー!分かった!!」

 クレアは母の頬へキスを落とし、2階へ上がっていった。


 「それで…なんでしょうか。主人は昨夜からまだ戻っておりませんが。」

 不安げな表情で隊長とアイクを見る女性。隊長は真っ直ぐに女性を見つめ質問を始めた。


 「あなたはベン・ロックスさんの奥様、フレイさんでお間違いないですか。」

 「はい。フレイ・ロックスです。」


 「ご主人を最後にご覧になられたのはいつですか?」

 「昨日の朝です。いつも通り仕事に向かいました。季節代わりの時期ですので庭園の作業で泊まりになるかもしれないと…。主人に何かあったんですか?」

 フレイの不安げな表情は増し、机の上で組まれた隊長の手にすがるように手を伸ばす。


 隊長は真っ直ぐにフレイを見つめたまま質問を続ける。

 「辛い質問かも知れませんが…ご主人に愛人がいたことはご存じですか。」


 「ええ、昔からの癖ですから。何度も何度も喧嘩をしましたし、何度も離婚しようと思いました。ですが(クレア)の顔を見るたび思い留まっていました。それで主人に一体何が?」

 

 「愛人がどなたかはご存じですか。」

 「いいえ。知りたくもないし、知ろうとも思いませんでした。ですが主人はよく『月兎の遊び場(ムーンバニー クラブ)』で遊んでいました。そこの女性の誰かなのだろうとは思います。」

 

 「そうですか。」


 隊長は目を伏せつつフレイの手をそっと包みこむ。そして視線を上げフレイを見つめた。


 「残念ですが、ご主人ベン・ロックスさんは、昨晩子爵邸でお亡くなりになれられました。」


 「いや、待って。いや、嘘。そんな、嘘よ!!」

 ぱっと手を払いのけ思わず顔を覆うフレイ。その隙間から涙が落ちる。


 「残念ですが事実です。心からお悔やみを申し上げます。」


 隊長は立ち上がりフレイの肩に手を置く。アイクは居たたまれず、そっと視線をテーブルへと逸らしたのだった。

捜査パート、ぽんぽん情報だけ出すことも出来るけど描写もしたい。だれないように書くって難しい。

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