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黒騎士団と7つの大罪  作者: 深淵を覗くとき深淵はそんなこと気にしてない
1章 庭師殺人事件
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1-4 会議室/執事長ジョン/白騎士本部

 黒騎士団にある会議室。普段は使われない小さな会議室に全員が揃う。隊長とローズがホワイトボードの前に立ち、残る3人は座っている。

 「全員揃ったな。今回はいつにもまして特殊な任務だ。ローズ、概要を。」


 「では始めます。ます、被害者はベン・ロックス。子爵家の庭師で、妻と娘の3人暮らし。子爵家に10年ほど勤めていたようです。通報者(つうほうしゃ)は子爵家執事長(しつじちょう)のジョン。青騎士2名到着後、子爵の要請で白騎士1名がその後を引き継いだそうです。名前はクライ・ハート騎士です。」


 「よし。ローズとフェイは子爵家へ。執事(しつじ)と子爵から話を聞いてこい。俺とアイクはクライ騎士の所へ。ヒマリはベンと子爵の身辺調査を。たいした情報は出てこないかもしれんが一応頼む。何か分かったら連絡しろ。」

 「「「「了解。」」」」


 こうして黒騎士団による捜査が始まった。


 子爵邸にある使用人の部屋。ローズとフェイの前には通報者のジョン執事長が座る。


 「ええそうです。私が通報しました。」

 (しわ)1つ無い燕尾服(えんびふく)、白髪に整った髭の初老の男性。ジョン執事長だ。


 「具体的に説明をお願いできますか?」

 ローズはメモ帳とペンを取り出しつつ質問を始める。


 「はい。あれは昨夜の…日付が変わる頃でした。いつも通り執務を終え、そろそろ眠ろうと思っておりました。

 明かりを消すと窓の外から薄明かりが差し込んできました。そして窓は裏庭に面しております。裏庭はご主人様お気に入りの場所。それはそれは美しい場所でして、整備をする庭師を含め数人しか入ることが許されておりません。

 また無理難題でも押しつけられたか、夜分遅くまでベンも苦労する。そう思い、差し入れの一つでもと裏庭へ向かったのです。

 するとそこには血を流して倒れているベンの姿がありました。すぐさま駆け寄りましたが既に息はなく、ご主人様に報告し青騎士団に通報しました。」


 「なるほど、駆けつけた時には既に亡くなっていたと。」

 「ええ、そうです。」

 そういってジョンは震える右手を左手で押さえ込むようにギュッと握り込んだ。


 そして話を続ける。

 「彼とはもう10年近い付き合いになります。悪友とでもいいましょうか。彼は少し向こう見ずな所がありましたから。それでも決して仲が悪かった訳ではなかったです。そんな彼が…と思うと。」

 そういって白い手袋の上にポタ、ポタと涙を落とした。


 「心中お察しいたします。」

 ローズはそっとジョンの肩に手を置く。


 コン、コンというノックの後、扉の向こうから女性の声が響く。

 「ローズ様、フェイ様、ご主人様の準備が整いました。ご案内いたします。」


 「ジョン執事長、ありがとうございました。必ずや犯人を捕まえます。」

 「ええ、お願いします。」

 涙ながらの執事長の肩をポンポンと2度優しく叩くローズ。そして立ち上がり部屋を後にする。フェイもその後を追って部屋を出ていった。


 白騎士団本部、クライ騎士の部屋。室内は白と木材を基調とした清潔感(せいけつかん)ある内装で、壁には細身の剣が掛けられていた。


 「お待ちしておりました、クラウス団長、アイク騎士。どうぞこちらへお掛け下さい。何かお飲みになりますか?」

 そう尋ねたのは壮年(そうねん)の男性。目も体も細いが身長は高い。何とも言えない威圧感を放つ騎士だった。


 「クライ騎士。時間をさいてくれて感謝する。だが話はすぐに終わる。気遣いは結構だ。」

 「僕も結構です。」


 「そうですか。せっかく良い茶葉が手に入ったと言うのに残念です。それで本日は黒騎士団の方々がわざわざ…。どのようなご用件でしょうか?」

 そういってティーカップを持ちながら座るクライ。


 「ベン・ロックスの件だ。」

 隊長が直球を放り込む。


 クライはほんの少しだけ眉をひそめるも、すぐに戻った。隊長はその表情を見逃すことなく、何か知っているなと確信するのだった。 

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