神の代行者
適当な思いつきで書いたものですが、思ったよりもいい感じになりました。
一話完結で結構短いので暇な方は是非読んでみてください!
読んでくれた方は批判でもなんでもいいので感想どんどんお願いします!
俺の名前は神楽坂 御門。どこにでもいる普通の大学生の俺なんだが、実はとある秘密を抱えている・・・・。
実は俺は生まれつき神の力を代理公使することのできる”神の代行者”なんだ。
この力を世界を脅かす秘密結社に常に狙われている俺は迂闊な行動は出来ない。だが普通の人間として生きていくためには力は隠して生きなければならない、この力を知っているのは幼馴染の佐藤唯だけだ。
そんなある日、目の前に黒装束の男が現れた。
「お、お前は・・・あの組織の刺客だな?」
「如何にも」
「何の用だ?」
よく見れば周りに一切人がいなくっていることに気付く。
「ここは・・・別空間か。」
「その通り、しかし今日は戦うつもりで来た訳ではありません。あなたの幼馴染、佐藤唯、でしたか?その子は今私達の組織にいます。」
「なんだと!?唯は無事なんだろうな!?」
「勿論です、アジトであなたをを待ちます、では御機嫌よう。」
謎の男の姿は消え、周りはいつもの景色に変わる。
そしてその刹那、頭に情報が流れ込んでくる。
「これは・・・敵の拠点の位置か、こんなことが出来るなんて、あいつは一体何者なんだ・・・?」
とりあえず頭に流れ込んできた情報を元に敵の拠点へ向かう、罠の可能性もあるがそれよりも唯が最優先だ
一応唯に電話をかけてみる。
「クソっ・・・・やっぱり出ないか。」
確実に唯は囚われている、やはり今すぐ敵の元へ行くしかない。
「ここなら周りに人はいないな」
人の気配のない場所へ移動する、神の力を使うためだ。
「よし、さっきの情報通りに座標を合わせて・・・”空間転移”っ!!」
自分の体が光に包まれ、視界が開けるとそこには禍々しい建物があった。
「罠とかは無いみたいだな、にしてもなんだ?この建物、どこから入ればいいんだ?」
入り口が見当たらない、周りを飛んで確認したががどの角度から見てもそれらしいものはどこにもない。
だがここでとあることに気付く。
「そういえば、唯の気配を感じないな」
いくつか敵の気配はあるものの、唯の気配は感じない、唯がいることくらいなら何重に結界を貼られていてもわかるのだが、あの建物から感じる知っている気配はさっきの謎の黒装束の男だけである。
「理由は知らないけど、唯がいないならあの建物を壊しても大丈夫だよな?かなり頑丈そうだが、とりあえず隕石でも落としてみるか。」
空に巨大な魔法陣が発生し巨大な隕石のような物体が現れる、神の力を隕石に具現化した物である。
重力を使って本物の隕石を引っ張ってくることも勿論出来るのだが、それだと周りに及ぼす被害が大きい、
ここがどこかわからない以上、この擬似隕石の方が力を制御できるので安全である。
擬似隕石が建物に衝突し、猛烈な破壊音が鳴り響く。
音が鳴り止むと、禍々しい建物は跡形もなく消え去っていた。
「結構あっけなく壊れた、と思ったが違うな。ここは・・・・」
ほんの数分前に感じたことのある違和感。そう、ここは別空間だ。
突如目の前に黒装束の男が姿を現した。
「まったく、なんてことをしてくれるんですかあなたは」
困っているような口調で話しかけてくる。
「何って、ただ攻撃しただけだが?」
「ただ攻撃しただけであの威力ですか。本当に呆れますね、その力には」
隕石は実際に命中していたみたいだ、とっさに別空間を作ったのは、さらなる被害を防ぐためだろう。
「それで、唯はどこにいるんだ?あの建物からは気配を感じなかった」
「あの建物にいましたよ、まぁさっきの攻撃のせいで無事かはわかりませんが」
「なんだと!?てめぇ!ぶっ殺してやる!!」
「冗談ですよ、彼女は今別の建物にいます」
「そうか、ならよかった」
俺としたことがついカッとなってしまった、俺は唯の事になるといつもこうだ。にしてもこの男、焦っているようで冷静である。やはり只者ではないようだ。
「で、唯は今どこにいるんだ?別の建物?唯は無事なのか?」
黒装束の男は呆れたように答える。
「無事ですよ、何度も言わせないでください。そして場所ですか、それは・・・」
「それは・・・・?」
「私を倒したら教えて差し上げましょう!!」
そう言い放ちながら男はこちらへ向かって来る。
「おっといきなりか」
そう言いながら反撃をしようとしたその瞬間、男の姿が消える。
「姿を消せるのか、厄介だな」
とりあえず周りを確認する、すると四方から4人に増えた男が斬りかかってきていた。
俺は瞬時に空間転移を使いその攻撃を避ける。
「危ない危ない、分身もできるのかよお前。ずるいぞ」
男は4人から1人に戻り、答える。
「あなたにだけは言われたくありませんねぇ」
そう言いながら男はもう一度姿を消す、そしてまた4人になり周りから一斉に斬りかかって来る。
「おいおいさっきも見たぞそれは・・・って・・・あれ?」
空間転移が使えない、もう目の前まで斬撃が迫ってきている。
「終わりですね」
だが剣が俺に触れた途端鈍い音が鳴り、4本の剣が同時に弾かれる。
「何!?」
男は驚きながら距離を取る、今度こそ焦っているのか、まだ4人に増えたままである。
「いやー危ない、そういえばここお前の空間だもんな、転移くらい制限されて当然だわな」
「空間操ったり分身したり消えたり・・・・お前中々チートみたいな能力してんな、ずるいぞ?」
「あなた・・・聞いていた以上に化け物ですね・・・」
男はやはり焦っているようで、少し汗を垂らしているのが見える。
「まぁね、ちなみに今のは”神の鎧”、大体の攻撃はこいつで防げるのさ」
「そうですか、ですがまだ諦めるわけにもいきません。私にもまだ奥の手が・・・」
男がそう言った時、そこにもう俺の姿はなかった。
「!?」
警戒した4人の男は四方に散る。
「「「「そういえば忘れてた」」」」
4人の男の隣に1人ずつ俺が現れ、手刀で4人の首を一斉にはねる。
「「「「さっき言ったお前が出来ること、俺も全部出来るんだった」」」」
3つの首と体が消滅し、残った本体の頭が呟く。
「この・・・・化け物め・・・・」
そう言いながら男は息絶え、その場に頭と体が落ちる。
「化け物だなんて心外だなぁ。っていうか空間元に戻らないのかよ、面倒だな」
すぐさま作られた空間を破壊し、元の場所に戻る。隕石を当てた建物は9割ほど無くなっていた。
「あれだったら中にいた他のやつも全部始末できたかな・・・っていうか唯の場所聞くの忘れた!」
やばいどうしよう、こうしてる間にもどんな目に遭っているかわからない。
どうしたものかと考えていると、空の一部が突然おぞましい闇に包まれ、そこに誰かが現れる。
「あれは・・・・まさか・・・」
そこに現れたのは女の子だった。茶髪のセミロングで、右の前髪を黄色いヘアピンで止めている、若干垂れ目の女の子。そうあれは、俺の幼馴染である佐藤唯だ。さっきの男のような黒装束に包まれ、背中からは黒い翼が生えている。
「唯!!どういうことだ!!無事なんじゃなかったのかよ!」
空中にいる唯に向かって叫ぶ。すると唯の横にまた1人、別の何者かが現れた。そいつは背中に黒い翼を生やした、黒装束ではないスーツ姿の男だった。
「何者だお前!唯に何しやがった!」
そう聞くとその男は答える。
「僕は魔王チクーシャ、君の幼馴染は改造させてもらったよ、君を倒すための兵器にね」
なんだと?兵器だって?だが確かにあれは偽物ではない、間違いなく俺の知っている佐藤唯だ。
「おい!唯!嘘だろ!?なんとか言ってくれ!」
そう唯に問いかけると虚ろな目で唯は答える。
「うん・・・たん・・・うん・・・・た・・・ん」
何やらおかしなことを言っているが、声は届いているみたいだ。するとチクーシャが言う。
「悪いけど彼女の発言は制限させてもらったよ。ちなみに君の声は届いてはいるが、何を言ってるかはわかっちゃいない、君の声がするくらいにしか思っていないさ」
すると唯が苦しそうに言う
「う・・・ん・・・・・た・・・・・・ん・・・・」
「ああ言い忘れたんだけど、若干感情とか意識は残ってるから、苦しみながら君と戦うことになるだろうね!大変だなぁ!これは!」
「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
愉快に補足説明をするチクーシャに俺は高速で突進し攻撃する。
が、唯がチクーシャの前に立ち塞がる。俺は咄嗟に攻撃を止める。
「おい!唯!そこを退いてくれ!そいつを倒せばきっとお前も元に戻るんだ!」
「う・・・ん・・・たん・・・」
そう言いながら唯の手から黒い雷が発生し、俺を攻撃する。
「クソッ!なんでだよ!唯!」
黒い雷を神の鎧で防ぎながら叫ぶ、すると笑いながらチクーシャが言う。
「はは、何を言っても無駄だよ、今から君はこの子と戦うんだ、どちらかが死ぬまでね」
そしてまたさっきと同じように黒い雷を使って唯が攻撃をしてくる。さっきよりも威力が大きい。
「クソッ!”空間転移”っ!!」
とりあえず攻撃を避けながら距離を取り考える、チクーシャを倒せばきっと唯は元に戻るはずだ。だが唯が邪魔をしてチクーシャには攻撃が通らない。唯を止める方法はあるにはあるのだが、それは少し代償が大きい。どうにかしてチクーシャに攻撃を通したい。そう考えている間にも、唯は俺に攻撃を続けている。
するとまたチクーシャが喋りかけてくる。
「おいおいいつまで逃げ回っているつもりだい?そんなんだと君の幼馴染の体がもたないよー」
「なんだと!?どういうことだ?」
不敵な笑みを浮かべながらチクーシャは答える。
「まぁ彼女は普通の人間だしね、改造をしたとはいえこんなことさせ続けたら体に負担があるに決まってるじゃないか」
「下衆野郎が・・・・・!」
よく見てみるといつの間にか唯の体に傷が出来ている、黒装束で少ししか見えないが、もしかしたら中にはもっと傷ができているかもしれない。
そして唯は微かに涙を流していた。
「畜生、あれをやるしかないのか・・・・」
俺は神の力を解放しながら唯に向かって飛んでいく、唯の攻撃を空間転移で躱し、唯の後ろへ回り込む。
「すまねぇ、唯」
そう言いながら唯の頭に手を当てる、すると唯の全身が光に包まれ、唯は気を失ったように動かなくなる。
動かなくたった唯を抱え、地上へ降りる。
「少し待っていてくれ」
俺はそう言って、唯がその場から消える。そしてチクーシャが不思議そうに問いかけてくる。
「・・・何をした?」
俺は答える。
「時間を止めたのさ、唯だけのな、そして安全な空間に転送した」
「だけど今また時間を動かしても元に戻る訳じゃないからな、お前のことはきっちり倒させてもらうぞ」
チクーシャは驚きながら言う。
「そんな事が・・・・何故最初からそれをしなかった?」
俺は答えるが、もちろんそんな事は教えない。
「さぁな、だが今はとりあえずお前をぶっ殺す!!」
さっき唯に使った力にはリスクがある、再び時間を動かす際に記憶が無くなってしまうかもしれないのだ、どれだけの記憶がなくなるかはわからないが、俺との記憶も消えて欲しくないし、なにより唯が今まで生きた楽しい思い出を失って欲しくなかった。だがこのままだと唯の命が危なかったので、やむなくこの方法を使うことにした。
時間停止を解く前にチクーシャを倒さなければ意味がない、すぐさま結界を張りチクーシャが逃げられないようにする。
「行くぞクソゴミ野郎」
そう言ってチクーシャを睨み付ける
「なるほどねぇ・・・で?僕を倒せるとでも?」
そういうとチクーシャはとてつもない闇のオーラを放ち、周りの大気が震えている。
流石魔王、とてつもない力だ。
「はあああああああああああああ!」
チクーシャは力を溜め、両手に闇のオーラが集中していく。
「悪いがいきなり終わりだ!」
チクーシャは両手から闇の波動砲を放ち、放たれた波動砲はこちらへ向かってくる。
すごい威力だ、あの威力なら下手したら大陸ごと吹き飛んでもおかしくないだろう、だが俺は神の力を使える”神に選ばれた者”、このくらいでは驚かない。
「しゃらくせぇぇっっ!!」
そう言いながら俺は波動砲をかき消す、片手で。
「なんだよ今のが全力か?魔王ってこんなもんなのかよ?ダッセェなぁ!」
「いいいいいいまのが全力な訳ないだろうが!くらいやがれ!!」
どう見ても焦っている、同じような波動砲を再び溜めて放ってくる。さっきより少しばかり威力は高いようだが、関係ない。
「雑魚がよぉ!!」
そう言いながら再び波動砲をかき消し、俺も神の力を溜める。
「なななななんなんだよお前!」
チクーシャは逃げようするが、結界が貼ってあるので逃げる事は出来ない。
「神に代わって貴様に罰を与える。”神罰・罪人消滅”」
凝縮させた神の力をぶつけて一気に消滅させる。俺の持てる、いや、神の持てる最高威力の技だ
「馬鹿なぁァァァアァぁァァァアァ!!!!!!」
そう叫びながらチクーシャは跡形もなく消滅した。
「へへっ☆どんなもんよっ♪」きゃるんっと1人でキメポーズを取る。ていうかあんなに唯を苦しめた奴なんだからもっと痛ぶればよかったと半ば後悔するが、唯のこともあるのでそういうわけにもいかない。とりあえず唯の時間停止を解くために唯のいる空間に転移する。
「待たせたな唯、あいつは完全に消滅させたぞ。っつっても聞こえてないんだよな、さっさと解いちまおう」唯の格好はまだ黒装束で、背中には翼が生えている。時が止まっているので当然なのだが。
「よしじゃあ早速・・・・」
とここでとても重要な事に気付く、今唯の時間は止まっている。そして自分が作った空間にいるため周りには誰もいない、つまり何をやっても誰にも見られてない。何をやってもである。
「そういえば傷があったよなこいつ、時間を動かす前に神の力をかけておかないと・・・どれだけ傷があるかわからないし、黒装束を脱がせないとな・・・」
そう、これは確認である。別に脱がさなくても神の力をかけることは可能だが不可能だ。そうこれは確認である、何度でも繰り返す、確認である。
確認のため黒装束を脱がそうと手を伸ばす。
「・・・・・ってんなことやるかよバーカ!!」
俺は神の代行者なんだと自分に言い聞かせ理性を抑える。そして神の力をかけ、唯の時を動かす。
時を動かした瞬間唯の傷は治っていき、翼は消えて無くなっていく。
「ちゃんと敵の術は解けたみたいだな」
ひと安心していると、唯が目を覚ました。
「う、う〜ん・・・あれ?なにここ・・・」
何が何だかわからない様子だが、当然である。
「気付いたか、唯!体に異常とかないか?」
「ん?体?って何この格好!?あっ、コスプレってやつかなぁ?私いつの間にかコスプレイヤーになってるよ〜えへへ〜」
唯はそうのんきに答えた。
「まったく、大変だったんだぞ唯、お前命が危なかったんだからな」
「え〜?なんにも覚えてないや。でも助けてくれたの?ミカ君ありがと〜!」
えへえへと何故か照れ臭そうに答える唯。っていうかこいつ、今なんて言った?
「おい唯、お前俺の名前わかるのか?」
不思議そうに唯は答える。
「え?ミカ君だよ。神楽坂御門くんだよ〜」
当たり前のことのように俺のフルネームを答える唯。
「じゃ、じゃあお前、自分の住んでいる場所はわかるか?」
唯は少し考えてから答えた。
「・・・・・あれ?私、どこに住んでるっけ?」
「えっ、じゃあ・・・・・」
それから唯には今まであった事を説明し、そしていくつかの質問をした。唯の記憶は確かに無くなっていて、それもほとんどの記憶を失っている、覚えているのはほとんど俺のことだけだった。
「そんなことがあるのかよ、残念なような嬉しいようなって感じだな」
「そう?私は嬉しいよ〜確かに記憶はなくなっちゃったけど、ミカ君のことは覚えてるし、大事なことはミカ君に教えてもらえばいいんだし〜」
「そんなんでいいのかよ・・・・」
いいよ〜と唯は間抜けな声で答える。唯はいつでも能天気である。まあそれが可愛いし、それに今も助けられているのだが。
「ということでこれからも色々よろしくね〜ミカ君」
俺はこれから唯の記憶を戻していかなければならない、それは間違いなく俺の責任である。そして、二度と唯が危険な目に遭わないよう守らなければならない。
「やれやれまったく、大変だぞこれから」
こうして唯と俺との物語は、まるでゲームの2週目のように始まるのであった。
完
うんこ