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~第二の錦織圭たちに贈る言葉(26)~ 『試合中は考え過ぎるな、戦況が有利な時は対戦相手の《底を抜け》』

作者: 目賀見勝利

           〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(26)〜

     『試合中は考え過ぎるな、戦況が有利な時は対戦相手の《底を抜け》』


1. まえがき;

2019年5月31日全仏オープンの3回戦で錦織圭選手はラスロ・ジェレ選手に6−4、7−6、6−3、4−6、8−6で辛勝した。しかし、私はセットカウント3−0で錦織選手が勝利出来るチャンスがあったにもかかわらず、逃したと思っている。それは第二セット。第一セットを接戦で落として気落ちしていたジェレ選手に対してサービスブレークをして4−1となった第6ゲーム、錦織選手の気力が突然にワンランク低下し、ジェレ選手の気力と同レベルになってしまった。そして第8ゲームでサービスブレークを許し、タイブレークを取られて1−1のセットオールになり、ジェレ選手は元気を取り戻してしまった。(ストロークのラリー戦は気力が物を言う。)勝利は勢いが着いた選手に傾く。私は錦織選手に体調異変でも発生して動きが悪化したのかと思った。錦織選手は試合中に他の選手と比べて頭を使い過ぎる(考えすぎる)きらいがある。

錦織選手が気力を振絞り、相手の『底を抜く』ことに成功していれば第二セットを取り、『勢い』は錦織選手に流れ、ジェレ選手の『心・技・体』はマイナススパイラルに入り、第3セットも取れていた可能性が非常に高かったと思われる。

何故に考え過ぎるといけないか。そして、《底を抜く》(宮本武蔵・五輪書・火の巻)とは如何どういうことかを述べる。



2. 贈る言葉;

『考える』時は頭脳の大脳皮質を使う。この時、頭脳への血流が増加し、呼吸で体内に取り込んだ酸素の70%〜80%を頭脳が消費すると謂われている。(通常は20%を頭脳が消費。)体を動かす筋肉には20%〜30%しか供給されないことになる。筋肉の酸素が低下すると痙攣けいれんが起こる。私は、第二セット第6ゲーム、錦織選手は考え過ぎから筋肉の酸素欠乏を起こして痙攣の前兆を感じたのかと思った。(正解は錦織選手しか知らないが・・・。)いずれにしても、錦織選手のストローク打球の威力がワンランク落ちたのであった。気力を落として筋肉の回復を待つ考えなのかとも思った。

『底を抜く』とは、簡単に云えば対戦相手の『闘志を無くさせる』ことである。

その手段は、心、技術、体力のすべて使い、相手の心・技・体に働きかけなければならないと宮本武蔵は述べている。

五輪書を引用すると、『底を抜くと云うは、敵と戦うに、その道の利を以て、上は勝と見ゆれ共、心を絶えさざるによって、上にては負け(ても)、下の心は負けぬ事あり。その義においては、我我に替りたる心になって、敵の心を絶やし、底よりまくる心に敵のなる所、見る事専也。此の底を抜く事、太刀にても抜き、また身にても抜き、心にても抜く所有り。一道には脇前へべからず。底より崩れたるは、我心残すに及ばず。左なき時は、残す心なり。残す心あれば、敵崩れがたき事也。大分小分の兵法にしても、底を抜く所、よくよく鍛練あるべし。』

簡単に訳せば、『敵が戦う気力を絶やしていない場合、表面上は負けていても、根底は負けていない。その様な時はこちらの心が構えを変えて敵の気力をくじく必要がある。そうしないと逆襲を受けることになる。大勢の組織で戦う場合も、個人で戦う場合でも、この底を抜く鍛練を十分にしておく必要がある。それには技術を使い、体力を使い、心(意志の力・気力・脳波)も使うすべての練習が必要である。』と云うことである。



3. あとがき;

  最後の詰めが甘いと負けに繋がる。底とは水の入った桶や樽の底の事である。

  底を抜くと樽(対戦相手)に入っている水(気力)が流れ出て空になると云うたとえである。判っていてもなかなかできないことではある。



          『諸君の健闘を祈る』

        目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ

           2019年6月1日

         

参考文献;

宮本武蔵・五輪書  神子 侃訳  徳間書店  1963年 8月発行


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