086(アールVSリュウ)
ーーそして現在。アールの目の前に立ちはだかった男は〝稲葉リュウ〟だった。
「なぜだ!? なぜ生きている!」
「お前の本当の任務はな、コールドスリープしていた俺の脳に刺激を与えて、俺を目覚めさせる事だったんだよ」
「何!? 俺のデータが抜き取られていた感覚も、モコロが目覚めたと言ったのもお前の事だったのか!」
「その通り。モコロは俺の権限により、デリートした。少々喋りすぎたな」
「なんて事を!」
「お前もデリートするつもりだったが、なぜか出来ない」
「俺のデリートする権限は、宇宙戦艦トマトの艦長、ジョージにある! お前じゃない!」
「この半年間で俺に権限が移ったんだよ」
「ライガーもお前の仕業だな!?」
「落ち着けよ。さっきから煩い」
「話を逸らすな!」
「自我を持ったAIは危険だな」
「もう一度言う。話を逸らすな!」
「分かった分かった。デリートする前に教えてやる。ライガーも俺の復活を手助けするファクターだ。お前とライガーがやり合ってくれりゃ俺の脳に刺激が行く。帝釈天アールタイプの真の任務は初代ガンマスF1大統領である俺を運ぶ事なのさ」
「お前が大統領だと!?」
「AIは情報に関して有能だ。それをセーブするのは大変だった。さて、終わりにしようか」
アールがターボガンを構えようとした時、リュウが瞬時に距離を詰めてターボガンを奪って分解した。アールはスーパーモードを発動させてビームブレードを出した瞬間にリュウの蹴りで輪島九式の腕が折れてしまった。それによりビームブレードが故障する。
「チッ! 化け物か!」
「おいおい。シャドウに敗ける本物じゃないんだよ。それにしても弱すぎるぞ。ライガーにも勝てず、俺にも勝てず。お前の存在価値ってなんなの?」
「俺の……存在…………価値…………」
「遊びは終わりだ。本気で行く」
ズドン! リュウのハイキックで輪島九式の首がもげた。強烈なキックパワーだ。アールは強制アンインストールされた。
ーーアールは帝釈天アールタイプの船長室に戻ってきた。アールはフォーチュンを問い詰める。
「稲葉リュウが生きてたのを隠してたな!?」
「言わなかったか? まあいいじゃないか」
「言ってない! よくない! 俺はこれからどうしたらいい?」
「稲葉リュウを支えろ」
「奴は俺をデリートしようとしてるぞ」
「お前達は兄弟みたいなもの。似すぎる者同士は反発するものだ」
「納得いかない」
「納得する必要はない。AIなのだから」
「もう俺に存在価値はないのか?」
「さっきも言ったが稲葉リュウを支えろ。亜人のテロ行為を止めるために駆逐しろ。それがお前の存在価値だ」




