082(女神降臨)
ーーアールは気が付くと白い空間に居た。帝釈天アールタイプの船長室だ。光が近付いて来て人型になる。
「モコロ! モコロなのか!?」
「我が名はフォーチュン。女神なり」
光は二十歳くらいの女の子に姿を変えた。まんま女神の格好をしている。
「女神!? ライガーは? 帝釈天アールタイプはどうなった?」
「落ち着け。帝釈天アールタイプは無事にガンマスF1に着陸した」
「えっ?」
「お前は半年間、眠っていたのだ」
「ライガーは、俺にトドメを刺さなかった?」
「気まぐれなのか、お前を取っておきたかったか。それは分からん。お前は省電力モードで保存されておったのだ」
「スマートアニマルはどうなった? カーマインやバイオレットは?」
「スマートアニマルは活動しておる。船員も無事で任務に就いておる」
「そうか。フォーチュンと言ったな。あんたはどういう存在なんだ?」
「AI船長仮、兼務で2代目緊急制御AIもやっておる」
「俺の役目もお仕舞いか」
「そうも言っとれん。亜人のテロ行為は激しさを増しておるのだ」
「巫女のリディアを捕まえたのにか」
「逃げられた」
「もー、何やってんのー。せっかく俺が捕まえたのに」
「四本腕の亜人による自爆テロ攻撃で基地は壊滅した。そのどさくさに紛れてリディアは逃げた」
「報復だろ」
「そうとも言えるな」
「俺はこれからどうしたらいい?」
「外の空気でも吸ってこい」
「AIは呼吸出来ない」
「例えだ。帝釈天アールタイプの輪島九式を貸してやる」
「分かった。行ってくるよ」
アールは帝釈天アールタイプのドックにある青色の輪島九式にインストールする。ハッチは開いていた。そこから外の世界を覗く。朝日が眩しい。
すると1人の人物がアールの前に立ちはだかった。
「ご苦労、稲葉アール。お前の任務は終わった」
アールの気持ちが曇る。
「お前は誰だ!? お前は死んだはずだ!」




