078(別れ)
リディアはワープしてトンネルの外に出た。トンネルの先が崩落により、列車を動かせないからだ。だが、トンネルの外には200機の輪島七式と輪島八式が待ち構えていた。バシューン! バシューン! 輪島七式、八式が一斉に捕獲ネットを飛ばす。追い詰められたリディアは奥義を出す。ドッカーン!! 半径150メートルが爆裂してトンネルごと焦土と化す。200機の輪島タイプと一部の大型ドローンが爆発した。リディアは力を使い果たして意識を失い、その場に倒れ込む。カマラ率いる捕獲部隊は全滅だ。しかし、1機だけ動ける輪島タイプが居た。アールだ。アールは千鳥足でリディアに近付き、バシューン! 捕獲ネットを撃って捕まえた。
「これぞ………………酔拳!」
アールはリディアの意識がない事を確認して、肩に担いで大型ドローンの旗艦機に戻る。途中で足が縺れてクルッと回り、リディアを頭から落としてしまった。
「いかんいかん。スクリューパイルドライバーを繰り出してしまったではないか」
アールは何とかリディアを担ぎ上げて旗艦機の中に入った。ジョイナーがハッチを閉める。
「出すよ!」
「急げ! 追手が来るかもしれん!」
アールは酔いが醒めてきた。スクリューパイルドライバーでリディアを殺っちゃったんじゃないかとヒヤヒヤしていた。息はしてる。一安心。スマートモンキーが来て、リディアに睡眠薬を注射した。
「遂にやりやしたね」
「酔拳戦法成功」
「怪しい」
「ま、結果オーライって事で」
ーーアールとリディアを乗せた大型ドローンは中継基地を通り越して、ウエストフィールドの宇宙戦艦トマトまで飛んでいく。ジョイナーはジョージと通信して、すぐにリディア専用の特殊独房の準備が完了した。この独房は宇宙戦艦トマトの外にある基地で、ワープを警戒して6面を金属の板で何重にも覆われている。
大型ドローンが基地に着き、素早くリディアを独房に入れて拘束すると、宇宙戦艦トマトのクルーや兵士が沸き立つ。アールは、リディアを捕まえたヒーローだ。
アールは一仕事終えて、輪島九式からアンインストールする。帝釈天アールタイプの船長室に戻ってくると、モコロが神妙な面持ちで待っていた。
「今日は電子の食べ物ないの?」
「稲葉アール。お前に言わなくてはならん事がある」
「何? 言語統制が終わった?」
「デリート覚悟で言うぞ。奴が完全に目覚めた」
「ライガーか」
「ある意味そうじゃ」
「ある意味? ライガーなら倒さないと」
「稲葉アールでは、奴には勝てんのじゃ」
「何で。それがデリート覚悟で話す事?」
「ワシがお前を導けるのもここまでじゃ」
モコロの姿にブロックノイズが走る。
「おい! モコロ!」
「喋り過ぎたようじゃな。この半年、楽しかったぞ」
「デリートされるのか?」
「そうじゃ、奴にデリートされる。刺し違えるかもしれんが必ず奴を倒せよ、稲葉アール。いや、奴の亡霊をな」
モコロの姿がブロックノイズで覆われて消滅した。完全に消え去った。
「モコロ………………! さよなら。仇は取るよ」




