073(捕獲失敗を報告)
ーーアール達はリディア捕獲に失敗した。運良く見付けたのに。アールはカーマインに報告する。
「こちら、アール。リディアに逃げられた」
「こちら、カーマイン。アールが居ても捕まえられないのか。手強いな」
「あの女、バリアで捕獲ネットを無効にしたり、ソニックブームみたいな飛び道具も使えたり、ワープもする。それで逃げられた」
「厄介だな。そっちの被害は? 列車に10機くらい乗ったはずだが」
「輪島八式が6機、リディアのソニックブームでぶっ壊れた。残りの輪島タイプ4機は列車から飛び降りたよ。バイオレットも無事だ」
「そうか。では帰還してくれ」
「了解」
その会話を聞いていたジョージはリディア捕獲作戦を続行するか殺害に変更するか悩んでいる。すぐに結論は出ない。一応、アール達とは別動隊の追撃部隊を送り込んだ。暗中模索と言ってもいい。リディアはワープをする。地下鉄で移動しているが。ドイツの宇宙船、バイエルンミュンヘンが放った人工衛星の映像では追えない。
ーーアールとバイオレット、2機の輪島七式はカーマイン達、本隊と合流する。全機、大型ドローンに格納され、イーストフィールドの中継基地まで戻った。この基地は宇宙戦艦トマトの隊員が建てた白い半球体、円錐形の実験施設だった物だ。生身の隊員が宇宙服なしで運営している。アール達、輪島タイプは一旦、アンインストールとなった。
アールが船長室に戻ってくると、モコロが独りで寿司を食べている。レーンに皿が流れ、モコロはそれを取って手掴みで寿司を食べた。電子の産物だ。
「モコロ、今度は回転寿司かよ」
「うわっ! ビックリするではないか」
「この展開、デジャブだな」
「わさびがツーンとなったわい。それにしても巫女のリディアに色々と必殺技があるとはな」
「見てたか。どうやったら捕獲出来るんだろ?」
「うーむ。捕獲を諦めるしかないじゃろ。立案者のジョージに進言してみるか」
「やっぱ、殺害するしかないのかな。リディアさえどうにかすれば事は上手く行く」
「そうじゃな。あ、そうそう。帝釈天アールタイプで牽引していたエンツォ・フェラーリじゃが、修理が完了したそうじゃ」
「半年も掛かったのか。相当なダメージだったんだな」
「牽引ワイヤーはどうする? 外しても大丈夫だと思うがの」
「じゃあ外して。エンツォに連絡してくれ」
すぐに、イタリアの宇宙船、エンツォ・フェラーリのAI船長、エンツォから通信が入った。
「こちら、エンツォ。貴国の宇宙船には本当に助けられた。グラッチェ」
「こちら、アール。困った時はお互い様。ガンマスF1に着いたら、また会おう」
「ああ。本当にグラッチェ。この恩は永遠に忘れないよ。では」
帝釈天アールタイプはエンツォ・フェラーリに繋いでいた牽引ワイヤーを外した。エンツォ・フェラーリは順調に航行を始めた。




