070(足跡)
アール達が派兵されたイーストフィールドの北側は雪景色だった。5機ある内の先行している1機の大型ドローンが気温を測ると、地表の平地でマイナス5℃。標高が高い所ではマイナス20℃ほどだ。この程度なら輪島タイプの稼働に問題はない。
輪島七式、八式には捕獲ネットを追加装備している。ガス圧で発射され、標的に重りが付いた網目状のネットを被せるという物だ。リディア捕獲目的に使用される。
先行していた大型ドローンの女操縦士〝ジョイナー〟が雪原の違和感に気付いた。
「全機に通達する。雪に足跡を確認した。宇宙人のものか調査するために着陸を開始する」
5機の大型ドローンが雪原に着陸して、ハッチが開くと輪島八式が素早く展開した。アールとカーマインが足跡を確認する。
「カーマイン、どう思う。4、5人の足跡だ」
「まだ新しいな。それにこれは靴の跡」
「巫女のリディアか」
「可能性は十分あるな。この足跡を辿ってみよう」
「分かった」
カーマインは指示を出す。大型ドローンは上空から。輪島タイプは地上から足跡を追う。その足跡は林に続いていた。
1機の大型ドローンにしれっと搭乗していたスマートモンキーが、モニターを見ながら輪島タイプ全機に情報を出す。
「皆さん、聞いてくだせえ。この林を抜けた先に地下鉄の入り口と思われる物がありやす。危険でさあが、行く価値ありやすぜ」
アール達はスマートモンキーの情報を頼りに細心の注意を払って林の中に入った。先導しているアールとカーマインはターボガンを構えながら歩いていく。すると、部隊の後方を担当しているキノコが異変に気付いた。
「皆、待ってくれ。4時の方向に何か居るよ」
部隊は歩みを止めて後方を見る。1機輪島七式がセンサーを使うと、草むらの中に1体の生物反応が出た。ガサガサ…………ガサガサ…………。隊列の中盤と後方がマシンガンの銃口を向ける。




