064(輪島九式操縦訓練開始)
ーーカーマイン達は帝釈天アールタイプに戻って来て、こっちの任務を始める。それは食事と運動だ。専用AIが指示を出して、船員はそれに従う。アールはまだ眠っている。今度の食事トレーニングは固形物が出る。まずは薄味のお粥から始まる。皆、苦戦しながらスプーンで口に運び、咀嚼する。船員の2割が吐き戻した。次に有酸素運動と筋力トレーニングだ。
カーマインとバイオレットは会話しながらスクワットに励む。各宇宙船には1Gの重力発生装置が組み込まれてる。萎えた筋肉では重労働だ。バイオレットは5回でギブアップした。
「きっつ。兄ちゃん、よく続けられるね」
「明日は輪島九式のトレーニングが始まる。ここで音を上げる訳にはいかない」
「ヤル気満々だね。それにしても何で私の輪島八式にはレールガンが標準装備なんだろ?」
「俺達、アメリカ出身だからアメリカ人に気に入られてるのかもな。パーソナルカラーにも塗装してくれるし」
「兄ちゃんは赤色だもんね」
「良い色だ」
「紫も良い色だよ」
「そうだな。アールは何で青色なんだろ」
「ほら、アール君は稲葉リュウの精神をインストールしたってブリーフィングでやってたでしょ」
「令和時代に活躍したサッカー選手だったな。サムライブルーか」
「そういう事。日本代表」
「勘が良いな、バイオレット」
「明日の訓練、気を付けてね。アール君はフラフラだったし」
「俺は大丈夫だ。そのために鍛えてる。次は腕立て伏せだ」
「ちょっと心配」
ーー帝釈天アールタイプの船員は段階的に任務に着く。カーマイン達のグループは眠りに付いた。
8時間後。カーマインは目覚めて、宇宙戦艦トマトのドックにある輪島九式にインストールする。まだハンガーに掛かってる状態だ。色は全機、黄色。まだまだパーソナルカラーに塗装してもらえない。他の輪島九式操縦に推挙された者達が次々とインストールした。ドックの現場監督〝ロン大佐〟は指示を出す。すると一斉に5機の輪島九式がハンガーから下ろされた。皆マトモに立ち上がる事すら出来ない。
「現場監督のロン大佐だ! 何をやっとるか! そんなんじゃ勝てんぞ! ひよっ子ども!」
「「「はい!」」」
ロン大佐が激を飛ばす。カーマインをはじめ、5機の輪島九式は必死に立ち上がろうと、カシャカシャもがく。
「七式、八式のようなセミオートマチックではない! 簡単にはいかん! 感覚で動かすのだ! 分かったか、ひよっ子ども!」
「「「はい!」」」
参加者は皆、人工筋肉の扱いに苦戦する。
「人工筋肉はもう1人の自分をイメージしろ! 宇宙船のカプセルの中ではなく、ガンマスF1の大地に居る感覚だ! マスターすれば超強力な兵器だぞ! 頑張れ!」
「「「はい!」」」