059(考古学)
ジョージからアールに緊急通信が入った。
「稲葉アール。輪島九式を勝手に運用したな?」
「それで地底人のボスを4体倒した。別にいいだろ? ドックの現場監督の許可は得ている」
「九式を壊したらお前はデリートだ。覚えておけ。通信を終える」
アールは通信を切られた。もやもやしてるところへカーマインが話し掛けてきた。
「俺達は仮眠を取るから見張りを頼む」
「ああ。人間は寝ないとな」
「アールは自分がAIだと知った時にどう思った? やっぱりショックを受けたか?」
「な~んも。AIも悪くないよ。さ、寝な」
「助かる。じゃあまた後でな」
カーマイン達、北東に展開していた哨戒部隊は帝釈天アールタイプに戻り、コールドスリープのカプセルの中で眠りに付く。連戦続きだ。皆、ぐっすりと寝る。
アールはジョンの家に招かれた。平屋のコンクリート製で、デザイナーズマンションみたいにモダンだ。ロボット掃除機がブーブー言いながら四隅を掃除している。地球の2020年代辺りの生活環境だ。ジョンは椅子に、アールはソファーに座る。
『コーヒーでも飲むかい?』
「コーヒーがあるのか。スゲー、地球みたいだ」
『地球にもコーヒーがあるのか。あ、変な事を聞いてしまったな』
「そうそう。俺はAIが操縦するロボットだから気持ちだけでいいよ」
『済まない。僕は大学で考古学を専攻していた』
「学舎があってもおかしくない。だってコーヒーがあるくらいだから。ガンマスF1の考古学も面白そうだな」
『地球と全然違ってとても興味深い。地球に人類が誕生して20万年らしいね。カーマインから色々聞いたよ』
「ああ」
『ところが、ガンマスF1の出土物を調べると、およそ200年前を境に高等生物の形態が異様に変化してるんだ。変だと思わないかい』
「突然変異か?」
『かもしれない。もしくは、君達の前に別の宇宙人が侵略してきたか』
「実に興味深いな。この星の過去に何が起きたかは断定出来ない?」
『うん。考古学は根気の要る仕事だからね。それに地底人の事もある』
「奴らの狙いは何なんだ?」
『地底人は雑食だ。何でも食べてしまう。低知能で農業をするという事を理解出来ない。だから、我々を食料と見なして時々、誘拐しに来るんだ』
「牛もか?」
『地底人は牛より我々グレイのが好物だ』
「厄介だな。だが、任せろ。俺が地底人を倒してやんよ」
『心強いな。ありがとう、アール』
「俺は戦わなければいけない。お偉いさんの反感を買うと消されてしまうんだ」
『シビアだね』
「まあ、君達の事は守ってみせる」
『ありがとう。本当に助かるよ』
『にゃ~ん』
ジョンの部屋に猫が入ってきた。猫と言っても地球のとは違う。ソフトモヒカンで頭から尻尾まで毛が立っている。大きさはサーバルキャットくらいだ。
「猫か?」
『うん。ペットの〝ミカエル〟だ』
ミカエルはアールの足にスリスリしてくる。
「可愛い奴め。ぬこっころ」
『にゃ~ん』




