054(ストーム)
スマートモンキーがカウントダウンを始めた。
「3…………2…………1…………ゴー!」
アールは物陰から飛び出してブースターを使い、ボスと距離を取る。そして、レールガンを発砲した。ズギューン! ズギューン! グシャ、グシャ。頭に2発命中した。しかし…………!
『いてえな、この野郎。そんなオモチャで俺を倒せると思ってるのかよ!』
「レールガンが効かないだと!? どうすればいい」
「アールの旦那、七式部隊が来るまで耐えてくだせえ」
「分かっている。しかし、待ってる間に全滅するぞ」
アールはエレベーターまで下がった。地底人のボスがずんずんと近付いてくる。アールの足元には北欧部隊は置いた武器があった。中にはレーザー光線モジュール付きアサルトライフルもある。
「スマートモンキー、このレーザー光線は使えるか?」
「宇宙人が扱うレーザー光線ライフルほどの威力はありやせんぜ」
「やるだけやってみる」
アールはレールガンを捨てて、代わりにアサルトライフルを拾う。ジー! ジュワッ。アールはレーザー光線で地底人のボスの首を狙って撃った。
『いてえって言ってるだろ!』
レーザー光線もノーダメージだ。地底人のボスが瞬時にアールとの距離を詰めて、ドカーン! アールは咄嗟に避けたが、輪島八式のランチャーごと右腕が吹き飛んだ。エレベーターに叩き付けられる。そして、片手で持ち上げられた。
「お前の敗けだ」
『強がりか? 雑魚が!』
グサリ。アールはビームブレードでボスの腹を一突きした。
「近距離まで接近出来ればこっちのもんだ」
『グハッ!』
グサリ! ザン! アールはビームブレードを更に刺し込み、そのまま上に振り上げて斬った。地底人のボスがバタッと倒れ込む。
「やったか!?」
「やりやしたぜ、アールの旦那。しかし、まだ生きてやす。トドメを」
「ああ」
ドカーン! アールの輪島八式の左足が吹き飛んだ。地底人のボスが立ち上がった。
『舐めやがって! ぶっ殺してやる!』
みるみるうちに地底人のボスの身体が治っていく。
「化け物か!? だが、お前の敗けだ」
『ハッタリか? 手足が吹き飛んだ状態で何が出来る!』
「スマートモンキー、風は?」
「バッチリ」
ビューッと外気が流れ込んできた。地底人にとって猛毒の大気だ。巨大送風機の風がようやく充満した。
『グハァァァッ!! く、苦しい…………! 助けて助けて!』
「北欧部隊を殺さなければこんな事にはならなかったんだ」
ーー地底人はボスを含め全滅した。宇宙戦艦トマトの艦長、ジョージの目論見は、輪島七式、八式の突入部隊に地底人の注意を引き付けて巨大送風機を守る事だった。作戦はことのほか上手くいった。