036(迷惑な奴)
ーーアール達、チームは病院の隅々まで調べる。それほど大きな施設でもない。すぐに索敵が終わり、結果、他にモンスターは居なかった。カーマインの提案でこの病院を拠点にして戦う事になった。頑丈な金属でできた建物だ。鉄壁の防衛が出来る。病院は未来型でアール達が見たこともない設備だ。カーマインは電波妨害の中、何とか補給機と大型ドローンを呼び寄せて病院の外に着陸させた。アールとカーマインは屋上に上がり話し合う。スマートモンキーはメンテナンスに行った。
「またとんでもないクソゲーに閉じ込められたな」
「アールはAI艦長なんだろ? なぜ把握出来ない?」
「解らない。自称神という緊急制御AIのが上位のシステムみたい」
「厄介だな。取り敢えず、ここを拠点に動く。応援部隊もすぐに来るだろう」
「この島の規模は?」
「周囲20キロメートルだそうだ。この島を落とせば奴らに逃げ場はない」
「だがモンスター達はゲリラ戦で応戦してくれる。簡単にはいかない」
「夜が明けたら爆撃機も参戦してもらう算段だ」
「リアリティーがあるゲームだな」
「全くだ、ハハハ」
その時だった。バン! 対戦車ライフルの銃声だ。
「モンスターめ。しびれを切らして攻めてきたか」
カーマインはセンサーを使う。
「近くに敵は居ない。屋内で銃声が聞こえた。急ごう」
「ああ」
前のルクソール・オンラインで、アールをプレーヤーキルした杉山が対戦車ライフルでバイオレットを撃った。杉山は100人プレーヤーキルすればログアウト出来るというルールを覚えており、味方を撃つ。しかし、そのルールも今では意味をなさない。バン! 杉山は他のプレーヤーにも発砲する。
「どうやったらログアウト出来るんだよ!? 何で俺にはレールガンがねえんだよ!?」
その場に居たメンバーは逃げ出す。アールとカーマインが現場に着くと杉山が銃口を向ける。アールはマシンガンを切り離してビームブレードに換え、杉山を真っ二つに斬り捨てた。杉山の機体の電装系統がダウンする。カーマインはバイオレットの元へ行く。バイオレットは脇腹を撃たれていた。
「大丈夫か、バイオレット」
「兄……ちゃん…………」
「バイオレット!」
アールは杉山を問い詰める。
「なぜこんな事をする? 味方を撃つなんて」
「ログアウトするためだよ、バーカ」
「お前はログアウトさせない。カーマイン、ドローンを貸してくれ」
「いいが、何に使う?」
「フッフッフッ。このアール様が弄んでやろう」
「アールだと!? 冷えて野郎だな! 100人プレーヤーキルさせろよ!」
「黙ってろ!」
「うるせえ!」
「そのウザさ、杉山だろ」
「ウザいのはお前だ!」
アールは杉山を大型ドローンのハンガーに括り付け、自動操縦で飛ばす。モンスター達がウヨウヨ居るであろう、島の東側へ。大型ドローンから投棄される杉山。モンスター達は杉山が戦闘不能と判り、玩具の様に取り扱う。ログアウトも出来ない。杉山はモンスター達と一蓮托生となった。




