035(無抵抗)
東側で応戦していたギルド、火の鳥も補給するために西側へ移動する。モンキータイガーとすれ違う火の鳥のメンバーには小型ミサイルやロケット砲を装備した機体が居た。アールはスマートモンキーに聞く。
「俺もミサイル撃ちたい」
「あれは旧式の後方支援機、輪島七式ですぜ。ブースターで飛べる時間は1分。機動力がありやせん」
「俺達の機体は何式だ?」
「アールの旦那達は輪島八式です。どうやらモンキータイガーは後方支援が先に殺られたみたいでさあ」
「戦い方を間違えたかな」
「これからも厳しい戦いが待ってやすぜ」
「任せろ」
モンキータイガーが町の東側に着いた頃に辺りは夕暮れになってきた。自動で暗視モードに切り替わる。東側にモンスター達は居なかった。アールはスマートモンキーに聞く。
「モンスターが逃げたかな」
「マズイですぜ」
「なぜだ?」
「センサーを使えば分かりやすが、この先に島がありやす。そこに逃げ込まれると少々厄介ですぜ」
「ゲリラ戦か」
「その通り」
「人数を集めてプレッシャーを掛けよう」
「ダイになったプレーヤーに戻ってきてもらいやすか?」
「そうだな。モコロに通達してくれ。俺、AI艦長なのに戦闘以外の自由が利かないからさ」
「…………今、モコロに連絡しやした。これで援軍が来やすぜ」
「助かる」
モンキータイガーと火の鳥は合流して島を目指す。合計40機と大所帯になる。行き来は大型ドローンで運ばれた。島の砂浜に着陸すると、アール達が辺りを索敵する。近くにモンスターは居ない。もう夜だが月明かりがある。アールがセンサーを使おうとした時。ジジジジーー。センサーが使いづらくなっていた。
「スマートモンキー。センサーの調子が悪い。何とかならない?」
「モンスターの電波妨害かもしれやせん。気を付けてくだせえ」
「分かった」
アール、カーマイン、バイオレットを先頭にチームは島を索敵する。モンスターとなかなかエンカウントしない。モンスターは島の東側に集まっていた。アール達は西側から攻める。慎重に進んでいると開けた場所に出た。二階建ての病院がある。チームは病院の中に入り、索敵をする。二階の通路にモンスターが1体居た。武器を持っていない。
「スマートモンキー。こいつ捕虜にする?」
「いいえ」
バン! スマートモンキーが対戦車ライフルを撃ち、モンスターの頭を吹き飛ばした。
「ゲームとはいえ、無抵抗の奴を殺るのは気分が悪いな」
「あっしは何を…………」
「スマートモンキー?」
「モンスターを殲滅するようにプログラムが書き換えられてしやいやした」
「大丈夫か?」
「友軍には危害を加えやせんから安心してくだせえ」




