031(振り出し)
ーーアールは一時的に意識を失う。気が付くとどこかで見た町の中に居た。
「なんだここ。またルクソール・オンラインの中に入っちまったかな?」
アールが歩こうとすると違和感を覚えた。身体が人型ロボットになっていた。手にはランチャーやマシンガンなどが装着されてる。肩にも対戦車ライフルやアンテナがある。戦闘用の武骨なロボットだ。
「なんだよこれ」
「アールの旦那~」
「スマートモンキーか」
また日本猿をアニメチックにデフォルメされた奴が目の前に現れた。
「どうなってんの。イタリアの宇宙船、エンツォ・フェラーリを助けたはずだが」
「敵が来やすぜ。応戦してくだせえ」
「敵? 敵ってなんだ? またライガーか?」
「それは…………モンスターでさあ。手伝いやすから応戦してくだせえ」
「何だか解らんがやってやろうじゃん」
アールは物陰に隠れながら町の様子を見る。銃撃戦の痕が見て取れる。足元にはロボットの残骸や兵士の死体が転がっていた。スマートモンキーはアールの肩に乗っていて指示を出す。
「アールの旦那、敵はこの町に潜んでやす。見たことない生き物だったら倒してくだせえ」
「分かった」
アールは一番近い家の中に飛び込む。ドアが開いていた。するとモンスターが居た。身長は2メートルほどで灰色の身体に大きな黒い目、4本の腕が生えている。二足歩行だ。手には見たこともない拳銃が握られている。ビー! ジュワ。モンスターが拳銃を撃ってきた。レーザー光線だ。アールは間一髪避けた。ダダダダーー! アールはマシンガンを撃ち、モンスターを蜂の巣にした。バタッと倒れ込む得体の知れないモンスター。
「やったぞ、スマートモンキー」
「この町にはまだ10体くらい居やすぜ」
「やベーな。これはルクソール・オンラインなのか?」
「そうでさあ」
「ウォーミングアップは終わったと思ったんだけどな」
「それは、あかさたなはまやらわ帝釈天…………。また言語統制されちまうでさあ」
「相変わらず使えねえな。振り出しかよ。…………ハァーあ! 行くぞ、スマートモンキー!」
「合点!」
アールは家から飛び出る。ビービー! ビービー! 2体のモンスターがレーザー光線を乱射してきた。建物の物陰に隠れながらレーザー光線を撃ってくる奴と屋根から撃ってくる奴。アールは咄嗟に避けて物陰に居る奴にはランチャーを、屋根に登ってる奴にはマシンガンをぶっ放す。ダダダダーー! ズガンズガン! グシャ、ドカッ! 屋根に居たモンスターは蜂の巣になって地面に落下した。物陰に居たモンスターは建物ごと吹き飛ばした。
「さっすがアールの旦那。危ない!」
バンバンバン! 建物の脇からアールを狙っていたモンスターに気付いたスマートモンキーが対戦車ライフルをお見舞いした。
「助かったぞ、スマートモンキー。なんか前を思い出すな。良いコンビネーションだ」
「当たり前でさあ。さあ、進みやしょう」
「ああ」




