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ルクソール・オンライン  作者: ルク穴禁
第6章(航空機クライシス)
23/91

023(失速の旅客機)

パン! パン! アールはレベル横取りリボルバーでコックピットを撃つ。


「いってー!」


弾丸はドアを貫通し、ライガーの脚に被弾した。


『ピコン。アール様のレベルが111になりました』


パン! パン! 今度はドアの鍵を壊す。そして、アールはコックピットに突撃する。


「ようやく見付けたぞ。…………ライガー!」


アールは決めた。根拠は持ってないが直感で。ギルド、モンキータイガーを守ろうと。


スマートモンキーがライガーに詰め寄る。


「さあて、話してもらいやしょうか?」

「案内AIの割には自我があるじゃないか。痛いから回復させろ」

「話すのが先でさあ」

「回復が先だ」

「チッ。アールの旦那、エネルギー回復チャージを持ってやすよね? 貸してくだせえ」

「ああ。アイテムボックスから出すよっ……」


バキッ! ガシャン! ヒューン……。一瞬の出来事だった。手負いのライガーが旅客機のコントロールレバーをへし折り、コックピットのガラスを破って逃げた。ビュービューと割れたガラス窓から暴風が入ってくる。


「なんて奴だ。人間離れした動きだった」

「アールの旦那。感心してる場合じゃありやせんぜ。旅客機が墜落してしまやさあ」

「どうすれば…………。副操縦士のコックピットに」

「アールの旦那は旅客機の操縦経験はありやすかい?」

「…………ない! でも自信はある!」

「じゃあ、高度を10000フィートに維持してくだせえ。あっしはパラシュートの準備を致しやす」

「おい! 人数分あるのか?」

「判りやせん」

「クッ! 取り敢えず、火の鳥にも分けてやれ」

「合点!」


スマートモンキーは急いで、機内のパラシュート残量を確認する。0個。絶望的だ。ライガーが前もって破棄していた。


アールは何とか機体を…………。機体を…………。エンジンの出力が落ちていく。機首を上げすぎないようにコントロールレバーを手前に引き、フルスロットルにする。それでも失速してしまった。


「スマートモンキー!」

「アールの旦那。パラシュートがありやせん。2回目のダイを覚悟してくだせえ」

「他の皆はどうする!? 復活は望めないぞ!」

「奇跡に懸けるしかありやせん!」


異常を察知した旅客機内は大パニックだ。誰しもが、死にたくない! 死にたくない! と叫び、酸素吸入器に手を伸ばすが、機体後方に叩き付けられる。旅客機は完全に失速して急降下に入ってる。エンジンの出力は回復しない。


そして、…………ドッカーン!!


旅客機は長野県に墜落した。搭乗者全員がダイとなった。

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