011(レールガン∞)
キノコはスマートモンキーに詰め寄る。
「ライガー以外に! ライガー以外にログアウトする方法を知ってる人はいないのか!?」
「案内AIのバージョンアップをすれば、何か解るかも知れねえでさあ」
「じゃあ、バージョンアップしてくれ」
「その前に案内AI入手の前提条件を話しておくでさあ。1つ、過去のVRゲームの戦績上位者。2つ、最初のプレーで10レベル以上になる。3つ、心の優しいプレーヤーであること。で、バージョンアップですが、案内AIを獲得した者が30レベルに到達すれば、バージョンアップができやすぜい」
「一番、効率の良いゲームはなんだ?」
「ルクソール・オンライン、三本柱のスーパーガンユニコーン、スーパーファンタジア、スーパードライブでさあね。どれもクリアするには命懸けですぜ」
キノコは黙ってしまう。代わりにアールが話す。
「俺、スーパーガンユニコーンでレベルを稼いでくるよ。皆はここで待ってて」
「他プレーヤーの攻略は観ますかい?」
「いや、いい。大体分かったから」
アールはスーパーガンユニコーンにエントリーする。
「アール君、頑張って」
「おお。任せておけ。皆は念のために俺のプレーを観ててね。アイル・ビー・バック」
アールは諏訪湖近くのコンビニからリスタートする。周りに敵が居ないことを確認してコンビニから離れる。レーダーでは敵大部隊が松本城を拠点にしてるのが分かる。
「アールの旦那ぁ~」
「スマートモンキー? ゲーム内に入れるのか?」
「選ばれし者の特権でさあ。レーダーと背面はあっしが見ておくんで、敵機を撃破してくだせえ」
スマートモンキーはアールの背中に飛び乗る。
「ライガーも探すか?」
「難しいでさあが、レベルアップと同時進行で進めましょうや」
「分かった。取り敢えず、松本城に向かう」
「合点!」
アールは走って、松本城を目視で確認できる位置まで来た。松本城の上空には全長100メートルほどの飛行円盤が浮かんでいる。
「なんだ、あのUFOは。あれを破壊すればいいのか?」
「ありゃあ、母船でさあ。1機落とせば、数十レベルも稼げるでさあ」
「武器は、木の棒とファマス1丁。心許ないな」
「1000万円を課金すれば、レールガンが手に入りやすぜ」
「そんなカネ……」
「ありゃ? アールの旦那ぁ~。ソート、ソート。レールガンを持ってますぜ」
「何!? 課金しちゃった?」
「いえ、課金してねえでさあ」
アールは武器をソートすると、レールガンがあった。弾丸数はインフィニティ。無限だ。
「これもバグか?」
「こんな都合の良いバグは考えられないでさあ。アールの旦那には何やら秘密がありそうでさあ」
「まあいい。レールガンで母船を潰すぞ」
「合点!」