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おっさんとダンジョン  作者: シロガネ
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ロク話 おっさんと戦術

 ダンジョンに入った瞬間、ほかの冒険者が立ち止まる。

 多分俺たちが最初入ったのと同じように感動したのだろう。


「おい、いつ魔物が襲ってくるのか分からないんだぞ!!とまるな!」


 俺が叫ぶと、前衛はハッとして、後衛は嫌々進み出した。

 どうやら、前衛と後衛には意識の差もあるらしい。


「敵が来ます。マンティス。数は…………25です!」


 しばらく進むと、突然と後衛のサポーターが叫んだ。

 冒険者たちがざわつく、Cランクの魔物の群れの討伐なんてのはほとんど経験することもないだろうから無理はない。

 前回はほとんどガルム任せだったから俺にとっても実質的なダンジョンでの初戦闘になる。


「落ち着け、1匹1匹対処していけば大丈夫だ。魔術師とサポーターもしくはアーチャーとサポーターは組んで、サポーターの幻影魔法で時間を稼ぎつつその間に倒せ。そして、ヒーラーは可能な限り弱めの回復魔法を全体に()()()()()。そして前衛はヒーラーを守りつつ戦え」


 作戦に疑問を抱いたのか、少し動き出しが遅かったが「早くしろ!」と言うと、すぐに動きだした。

 このパーティーの編成は俺を抜くと、前衛の剣士が1、魔法剣士が1、あとは後衛のサポーターが2、魔術師が1、アーチャーが1、そして、ヒーラーが3というメンバーだ。

 こういった少人数でたくさんの敵と戦う場合、集団で敵全体を相手にするより、数グループに分けて敵を分散させて戦う方が目の前の敵に集中しやすくて戦いやすくなる。

 そして、回復魔法は重ねがけができるので、弱い回復魔法を常時かけているのがでも3人もいればそこそこの回復魔法を常時かけているのと同じことになる。

 そうなると、よっぽどの怪我じゃない限り受けてもすぐに回復する無敵に近い状態にもちこめる。

 もちろん、ヒーラーの魔力を考えると、長い時間は保てないのだが、今回程度の相手ならそこまで時間がかかるわけではないだろうと判断した。

 そしてそれから15分程度で、マンティス25体討伐が終わった。


「………………まさか、あれほどの数がこの程度の時間で終わるとは」


戦いが終わってサポーターが魔石化している時、前衛の一人が呟く。

たしか、あの茶髪の男の名前はアイトとか言ったはずだ。さっきの戦いでもいい動きをしていたから覚えている。


「そうね、ただのおじさんかと思ったけど伊達にAランクじゃないようね」


アイトの横に立っていた金髪の女も呟く。

「おい、聞こえてるぞ」と、言いたくなるがここは黙っておこう。実際自分でもAランク相当の実力があるとは思わないからな。


「おい、失礼だぞ。レイ」


「…………ごめん」


そして、そこにもう一人筋骨隆々とした俺と同じくらいの年の男が現れた。


「レイ、アイト。魔石の回収を手伝え」


「あ、ジョーさん」


ジョー、アイト、レイは3人とも最初の仕分けの時に前衛になったメンバーで、アイトとジョーが前衛職の剣士と、魔法剣士でレイはヒーラーだ。

会話を聞く限り3人はクランを組んでいるようだ。


「魔石の回収が終わったらまた、最初の隊形に並んで進むから、並び直してくれ」


指示を出す。すると、ジョーが話しかけてきた。


「オウカさん、ひとつ聞いてもいいですか?」


「なんだ?」


「いや、なんで前衛後衛を職種じゃなくて最初のわけ方で分けるんですか?」


「お前ら3人は最初の説明の時、わざと不満を持たせるように話したんだ」


「たしかに、言い方はそうでしたが内容は理にかなったことを言ってましたよね」


「ああ、俺はそれに気づくか気づかないかで状況判断能力を測ったんだ」


「ああ、なるほど。さすがAランク冒険者ですね。たしかに前衛は脳筋では務まりませんからね」


「…………ああ」


筋肉を隆々とさせて「前衛は脳筋では務まりませんからね」なんて言われても説得力はないのだが、ここは同意しておこう。

俺とジョーの会話に、ほかの冒険者たちは納得したように頷いていた。


「それじゃあ、並んでくれ」


そうして俺たちはまた先へと進み出した。


******


途中でスライムやゴブリンとの戦闘があったものの、難なくこなして今は前回バトルブンブンがちらほらと出てくるようになったところまで来た。


「ここで休憩にする。ここで一晩越すから2人ずつ見張りの順番を決めておいてくれ」


集団になって話し合い始めた。しばらくすると、話がまとまったのか各自、テントを貼る者、焚き火をする者とそれぞれの行動を始める。


「…………それにしてもダンジョンにも夜は来るんだな」


1人の冒険者のつぶやき声が聞こえてきた。

そう、今ダンジョンは薄暗くなってきている。

前回はガルムの活躍で進むペースが早かったため、気が付かなかったが、どうやらダンジョンにも夜があるらしい。

俺も自分のテントを貼った。ジョーたちなど、クランを組んでいる人たちは同じテントで寝るようで11人いるのに対して、テントは4個程だった。


「それじゃあ、明日の説明をする。明日はクイーンブンブンとの戦闘があると思う。クイーンブンブン戦ではサポーター、アーチャー、魔術師で周りのバトルブンブンを、前衛職と、ヒーラーでクイーンブンブンを倒してもらう。今までと同じような戦い方でやって欲しいんだが、ひとつ注意点がある。クイーンブンブンは1匹じゃない可能性が高い。だから、1匹倒したからと言って油断はしないでほしい。それじゃあ、今日は休憩にする。ゆっくり休んで明日に備えてくれ」


話終わると、それぞれのテントに潜り、ジョーとアイトが残った。


「オウカさんは寝ないんですか?」


アイトが話しかけてきた。


「ああ、俺が寝てしまったらもし何かがあった時に的確に指示を出せる人がいなくなるからな」


「流石ですね」


アイトがそう言って苦笑した。


「そう言えば、アイトたちってクランを組んでいるんだろ?なんて言う名前なんだ」


「はい、そうですよ。よく分かりましたね。戦士の誓いというクラン名でやってます。ちなみにメンバーは自分達3人とあと10人います」


「ああ、あの戦士の誓いか。じゃあ結構ランクの高いクランだったんだな」


「戦士の誓い」は全員がBランク冒険者で構成されたクランでモノの中では有名なクランだ。クランやほかの冒険者に興味が無い俺でも名前くらいは知っている。


「リーダーは?」


「リーダーはジョーさんです。ああ見えてけっこう頭脳派で、オウカさんの戦術に興味があるみたいですよ」


「こう見えては余計だ」


そんなふうに話していると、意外とジョーとは話が合って次の交代時間まで戦略や戦術について話し合っていた。


今回はここまで、次回はいよいよあのクイーンブンブンとの戦闘です。

切り札と言える戦力がいない中、オウカ達はあのクイーンブンブンたちに勝つことができるのか!?

次回、「おっさんとリトライ」乞うご期待!!





と、まあ、次回予告です。今後はこのように次回予告を入れていくつもりです。

面白かった。続きが読みたいと言う方は評価、ブックマーク、よろしくお願いします

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