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無題  作者: 結城智
最終話 ~謎の真相。そして、ループ消失後の僕の未来は~
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第50話 僕の想い・告白の答え

 水樹さん。都合がいいかもしれないけど、僕はもう一度、あの頃の四人で仲良くしたい。


 今、家に帰ったら、僕の家には七瀬さんと仁が待っている。


 その時、僕は七瀬さんに別れを告げられる。正直、別れを告げられるのは、仕方ないと思っている。僕はループという力に頼っていたし、七瀬さんと付き合えたのも、ループの力のおかげだから。


 それに本当はさ、七瀬さんと付き合うのは、仁のはずだったんだ。


 あの日、中学三年の最後の試合、僕は仁と勝負した。点を多く取った方が、七瀬さんに告白する権利を得ると。


 その勝負ね、本当は仁が勝っていたんだ。チームも勝っていた。でも、僕はループを使い、結果を変えたんだ。


 そうとも知らずに、仁はその後、僕が七瀬さんと付き合うことを祝福してくれた。


 僕はずっと仁の優しさが辛かった。


 いっそ、ループの力を仁に暴露して、この卑怯者! って、ぶん殴ってくれたら、どれだけ救われたか……でも、僕は弱くてズルい人間だから、やっぱり、ループの力を手放すことが出来なかった。


 ループの力はさ、使えば使うほど、自分が惨めになり、嫌いになる。


 周りはそのことも知らないから、誰も僕のことを責めたりしない。だから、孤独にもなる。でも、ループは麻薬だから、手放すことが出来ない。


 手放せば、自分の居場所はなくなり、世界の端っこに追いやられるんじゃないかって、不安に襲われるんだ。


 孤独と不安。僕は不安という感情の方を恐れ、ループを手放せなかった。


 でも、それじゃダメだったんだ。


 不安は仕方ない感情だ。人生の中で不安はつきもの。僕だけじゃない。皆、それぞれ不安を抱えて生きている。でも、不安という感情は絶望ではなく、希望に繋がることもある。


 不安は毒じゃない。不安は時に力になる。不安と向き合って、その不安を乗り越えたら、人はまた一つ強くなれるから。


 水樹さん。僕は今、ループを手放して、凄く不安だよ。

 勉強も全然ついていけないし、サッカーも全然活躍出来なくなった。今後、女の子にキャーキャー言われることもなくなっちゃうしね。


 でも以前、僕に近付いてくるのは、サッカーは出来る僕に興味がある人達だけだった。

 だから、皆が本来の僕を見ようとしなかったし、僕も僕で相手の顔を真っ直ぐに見ようとしなかった。


 でも、今は違う。

 サッカーだけではない。僕の言動、行動をきちんと見て、相手は接してくれるようになってきた。そして、僕も相手を知ろうとする為、真剣に関わろうとする。


 きっと、この先、人と親密になればなるほど、嫌なことや面倒なことも増えるだろうね。


 でも、それでいい。面倒臭いのが人生なのだから。


 ああ、ごめん。話しが大分、脱線してしまった。


 僕はもう一度、やり直したい。


 七瀬さんとは友達に戻して。

 仁や水樹さんも含めて一緒に。


 この先、僕が生きていく道を手伝って欲しい。



 

 僕のお願い。


 水樹さんは僕が長々と話している間、口を挟むことなく、真っ直ぐに僕のことを見つめていた。

話し終えた後、水樹さんはすぐに口は開かず、空を見上げる。


 なにを考えているのだろうか。


 こいつ、今更なに言ってるだと、苛立っているのだろうか。そう思われても仕方ないな。あまりにも都合が良すぎる話しだ。


「名取君」


 水樹さんは僕に声をかける。


 しかし、水樹さんの視線は空に向けたまま。僕もつられて空を見上げる。


 オレンジ色の空。美しい夕焼け雲が空を流れていた。


「私の告白の答え。まだ聞いてないんだけど」


 えっ、告白? ああ、しまった、すっかり忘れていた。僕、水樹さんに告白されていたんだっけ。

ポカンとした顔をしていたのだろう。水樹さんは少し不機嫌に眉を顰めた。


「名取君。あなた、自分のお願い言う前に、私の告白の答えを返すのが先でしょ。私、勇気振り絞ったのよ。ひどいわ。非常識よ」


 水樹さんの言うことはごもっともだが、全然、勇気振り絞ったようには見えなかったけどな。


 私、あなたのこと大好きよ。という言葉が、名取君、ご飯食べに行きましょ。みたいな、日常的口調だったし。いや、まあ、表情に出ないだけで、内心は緊張したのだろうけどさ。


 とにかく、告白された以上、答えを出す必要がある。


 待てよ。でも、このまま、断るようなことを言えば、水樹さんの機嫌は悪くなり、僕のお願いを聞き入れてくれないかもしれない。と言っても、情けをかけて受け入れてしまうなど、水樹さんにとってみればタブー行為だ……ああ、どうしよう。


「水樹さん」

「なに?」

「ごめん。僕の気持ちはやっぱり、今も七瀬さんにあるんだ。気持ちは凄く嬉しい。でも、水樹さんの気持ちには答えられない」


 僕は頭を深く下げて断った。


 実際、小手先の言い訳がその場で浮かぶほど、僕は器用じゃない。よって、ストレートに断ることにした。


 水樹さんは完全に無表情。ショックを受けているのかすらわからない。

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