98話 中間大陸における業務 9
中間大陸の開拓・開発のために新人を大量導入してるのが今である。
そういった新人を引き連れる経験者はどこででも必要とされている。
おいそれと高度な研修を受けさせるわけにもいかない。
もちろん、知識や技術を身につけた者は欲しい。
だが、それを身につけさせるために、経験者を研修に放り込むわけにもいかなかった。
そんな事をすれば、経験者が一時的に作業現場からいなくなってしまう。
そうなった場合、かろうじて運営している各部署の業務が滞る事になってしまう。
かといって、新人に偵察などの研修を受けさせて放り込む、というわけにもいかない。
何の経験もない連中に技術を伝授したところで、さして意味がない。
実際に業務をこなして、作業を実体験させないとどうにもならないものがある。
訓練で最低限の知識や技術を得ても、それを実地で使っていかなければならない。
そうしないと身につかない、気づかない事もあるのだ。
それもあって高度な、あるいは発展的な業務の研修は、新人段階ではほとんど行われない。
ある程度の実務経験を経てから、研修を受ける資格を得るようになっている。
もちろん、人手不足の状況なので、素質や見込みのあるものは除外されている。
そういった者達には偵察などの高度な技術研修なども行っている。
そうしないと必要な人数を集める事も出来ないからだ。
だが、それにしてもすぐに数が揃うわけではない。
中学卒業したばかりの者達であれば、最低でも一年の新人研修が行われる。
高校や大学卒業であるならば、これが数ヶ月に短縮されるのだが。
それでも、それなりの時間を研修に割り当てねばならない。
そうして更に偵察などの研修を受けるのだ。
実際に各部署に配属されて業務に従事するまでに、一年からそれ以上の時間がかかってしまう。
タクヤ達の苦労が解消される事は当分無い、という事になる。
これが中途採用などであれば話は変わってくる。
前職の経験などがどの程度なのかを確認はするが、それをこなせば即座に現場に投入される事もある。
だが、慢性的な人手不足の新地道の事、そうそう簡単に使える人間がやってくる事はない。
これらをあてにする事も出来なかった。
なお、経験者といっても入社二年三年といったあたりがほとんどである。
一般的にいえば、新人とさして変わらないあたりである。
言葉は悪いだろうが、平社員にようやくなったというあたりだ。
そんな者達ですら経験者扱いされてしまう。
それくらいに新地道では経験者が足りなかった。
また、そんな事情もあって、平社員でも勤続年数が長ければ相応に頼りにされる。
例え下っ端と言えども、下っ端としての業務経験があり、それなりの知識がある者は尊重される。
年若い課長などの役職者よりも、勤続年数の長い下っ端の平社員の方が給料が高い事など珍しくもない。
そういった者は現場の監督者や引率者という立場に見られる事がほとんどだ。
役職がなくても、事実上の役職者扱いである。
もちろん、これはまともに業務が出来る者に限られる。
単にそこに居るだけの存在はこういう扱いにはならない。
むしろ、長く勤めているにも関わらず、仕事も出来ないお荷物として扱われる。
そこは会社もしっかり査定をして、相応の扱いをしている。
何でもそうだろうが、真面目に仕事に取り組んできた者が、相応の評価を得るのだ。
そんなわけでタクヤ達の作業が別の誰かに引き継がれる事はない。
それが行われるとしたら、二年三年先という事になるだろう。
出来る人間がいないのだからしょうがない。
偵察に従事出来るだけの人間は少なく、どうしてもお鉢がまわってくるのだ。
しばらくこの状態から抜け出る事は無い。
誤字報告助かってます。
活動報告でも書いたけど、ここでも。




