97話 中間大陸における業務 8
それでもどうにか偵察をこなして帰還する。
たった数日ではあるが、屋外ではそれがとてつもなく長く感じた。
(もう勘弁してくれ)
そう思うのも無理はないだろう。
幸いな事に、会社もこの任務の過酷さは理解してるようではあった。
連続して次の業務へ……というような事にはならなかった。
帰還した偵察部隊には休息が与えられた。
二日間だけだが休日が与えられる。
それから更に次の偵察に行かされる事にはなるのだが。
それでも偵察部隊は多少なりとも骨休めをする事が出来た。
その後も何回か偵察に従事する事になる。
少しずつ慣れていき、だんだんとやり方も飲み込めていけるようになった。
研修で習った事も、なんとなく思いだし、実地でその意味を確かめもする。
危険である事は変わらないが、それでも何をどうすればいいのか分かると違ってくる。
何に気をつけてどうすればいいのかが分かれば、危険にもある程度は対処出来る。
一ヶ月、二ヶ月と作業に従事する事で、仕事に馴染んでいくようになった。
「それでもなあ……」
現状への不満はどうしても出て来る。
「俺達だけに仕事を任せるのはどうにかしてもらいたいよ」
「まったくですな」
「本当に」
「どうにかならんのかねえ」
タクヤの声に、タダヒロを始めとした班員も同調する。
初の偵察任務以来、彼等はずっとこの作業に従事している。
交代で別の誰かと代わるという事もない。
いくら慣れたとはいえ、危険な作業に従事し続けるのは勘弁してもらいたかった。
「早く新人を研修に放り込めばいいのに」
何度もぼやいた言葉が口をつく。
偵察業務がタクヤ達に任される最大の理由はこれである。
他の誰かに代わろうにも、適当な人材がいないのだ。
偵察には相応の技術や知識が必要なので、研修がどうしても必要になる。
それを受けなければ偵察業務に従事させる事は出来ない。
本人が希望しても、こればかりはどうにもならない。
ならば研修を受けさせれば、という事にもなろうが、そう簡単にはいかない。




