96話 中間大陸における業務 7
様々な思惑が込められた偵察業務。
その二日目にて、タクヤ達はモンスターの襲撃を受ける事になった。
相手は尻尾を含めた体長が10メートルになろうかという恐竜。
この世界では比較的ありふれたモンスターだ。
それらを慌てる事無く倒していく。
戦闘部隊にいれば何度も相手にするモンスターだ。
今更慌てるような事は無い。
先に見つける事も出来たのもあり、それらは簡単に制圧できた。
だが、決して楽勝とも言えなかった。
接近するのが分かっていたからどうにかなったが、かなり近くまで接近されてもいた。
集中砲火を食らわせなかったら危なかったかもしれない。
ロケットランチャーや無反動砲は使わずに済んだが、それも考えねばならなかったかもしれない。
歩兵用のグレネードランチャー(擲弾筒)を持ってる者は、それを使う事も考えていたくらいだ。
あらためて偵察の怖さを思い知る事になった。
それでも、襲撃が日中だけならばまだ良かったかもしれない。
それならば目による監視でも見つける事は出来る。
しかし、モンスターは昼だけ襲ってくるわけではない。
中には夜行性のものもおり、そういったものは夜になってから襲ってくる。
その為、夜中の警戒も決して気が抜けなかった。
夜間用の暗視装置や、接近を感知する警報も持ってきているが、それでも油断は出来ない。
日中と違い、寝てる者もいるので、監視にあたる人数も減っている。
何かあった場合に対処出来る人数も減る。
車輌も停止してる状態なので、走って逃げる事もすぐには出来ない。
日中以上に危険である。
特に危険なのは、バイクやバギーに乗ってる者達だった。
体が剥き出しの状態なので、襲いかかられるくらいに接近されたら終わりだ。
夜間、寝てる時は車の中に入るので、即座に動く事も出来ない。
軽快な機動性が持ち味のバイクとバギーだが、偵察に出る場合には問題点が気になってしまう。
前々からこの部分は問題になっていたらしいのだが、抜本的な解決策も出てこない。
かといってバイクやバギーも、あればやはり便利である。
そのため、危険を承知で偵察部隊に組み込まれていた。
「きついな」
バギーで行動してるタクヤはそれの危険性を体験していく。
偵察は危険で困難なものだが、乗ってる車輌のおかげでそれが更に増大してしまう。
一人乗り用としては警戒で速度もあり、踏破性も高く多少の積載容量もある。
設置されてる機関銃も火力を増大させてくれて、非常に便利なものなのだが。
剥き出しというのはそれらの利点を大きく削るほどの問題となってしまっていた。
「どうにかなんないかな」
利点を活かして、防御力を上げる事が出来ればと思う。
そんな都合のよい手段があれば、とっくに採用されてるだろうとも思ったが。




