93話 中間大陸における業務 4
浄水場・下水処理場だけではない。
他にも様々な施設の建造が進められていく。
だが、それらも場所があってこそ。
施設建造の護衛や警備以外にも、更地拡大作業の護衛に回される事も多かった。
少しでも広く場所をとっておかないと、今後の作業に支障が出るからだ。
場所の確保はそれだけ重要であった。
機材や資材を置いておくためにも、場所は必要だからだ。
その作業に伴って、タクヤ達もあちこちに連れ回される事になった。
そうして更地が増えていくと、作業場所への移動に時間がかかるようにもなる。
物資の運送も含めて護衛が必要になる。
手間はどんどん増えていった。
作業員も増えていったが、それでも忙しさが減る事は無かった。
「忙しいな、ここは」
ぼやくタクヤに他の者達も賛同していく。
「そうっすね」
「給料上げてもらいたいっすよ」
「今日はモンスターも出てきたし」
「もうちょっと森を切り開いてくれないと危険でしょうがない」
「せめて車で入り込む事が出来たらいいんだけど」
そんな声をあげながらも、彼等は業務に従事していく。
迫るモンスターを排除するのが仕事だ。
見つけたらすみやかに排除し、作業員や輸送物資などを守らねばならない。
それが開けた場所でならばともかく、森林地帯などでとなるとかなり困難になる。
出来るだけ楽をしたいものだと思った。
そんなタクヤ達の思いはかなう事はない。
「偵察ですか?」
護衛以外で与えられる新たな作業に、タクヤは驚いた。
「確かにそういう研修も受けてますけど」
「なら、話は早い」
仕事を伝えてきた上司は、そう言ってため息を吐く。
「何せどこも人手不足でな。
少しでも研修を受けた者には、それなりの仕事をさせねばならないんだ」
「それは分かりますが……」
納得はしたくなかった。
偵察の危険さを考えれば、拒否したいところである。




