87話 勤務地の変更 3
こうして戦闘部隊が集められていく。
それだけでなく、開拓に必要な機材や資材、人員も集められる。
これらを運用するための計画が練られ、現地でどのように活動していくかが考えられていく。
初動に必要なものを運搬するだけでも大がかりなものになる。
何をどう動かせば良いのかを決めるだけでも大変な作業になった。
それを経て必要な物をはっきりさせても、今度はそれを集められるかどうかが問題になる。
大陸一つを開拓するのだから、当然ながら大量の物資を用いねばならない。
これも難航していく事になる。
現時点でもまだまだ採掘すらも追いついてないような状態だ。
必要な物資をどうにかこうにかやりくりして発展している最中である。
そんな状態で、更に物資を求めても、対応出来るわけがない。
それでもどうにかして物資を集めていく事になるが、求める量に大して供給量は微々たるものであった。
中間大陸の開拓が進み、採掘や原材料への加工がなどが進めば、自力での調達も出来るようになるだろう。
だが、どれだけの時間が必要になるのか見当を付けるのも難しい。
事前の調査である程度資源の場所は把握してるとはいえ、そこまで採掘にいくのもかなりの手間になるのだから。
また、採掘した資源を加工するための設備も必要になる。
様々な設備を動かす発電所も。
それらを作る為の資材を受け入れる港湾設備も拡張せねばならない。
これらが複雑に入り組んでいく。
何かを造りながら別の何かを建設し、出来上がったところから何かを手に入れて別の所に投入していく。
そんな事を交互に行って作業速度を高い水準で保っていく。
かなり無理のある作業工程になるが、そうしないと先に進めていけない。
いつまでも他所からの輸送に頼ってもいられないのだから。
また、絶対的に足りない人手もかき集めねばならない。
その為に中学校卒業生すらにも声をかけ、人手を集めていく。
必要な知識や技術を獲得させるために長い研修期間が必要になる。
だが、高校卒業などを待つよりも早く人手は集まる。
その為、積極的に採用が為されていった。
これは新地道だけでなく、日本本国にまで及ぶ。
ただ、新地道の住人はともかく、異世界について危険な場所という認識をもつ本国での採用はおぼつかない。
もとより新地道と違って出生数・出生率低下による人口減少がいまだに止まらない日本本国である。
本国企業でも人手の確保に躍起になっており、本国出身者はそちらに就職する者の方が多かった。
それでも就職が出来ない者が新地道に流れ込む事があるくらいだ。
もっとも、圧倒的な求職の中でどこにも採用されなかった者達である。
どういった者なのかは推して知るべきものがあった。
能力の低い者、素行不良の者。
どうしたってそんな者がほとんどになっていく。
それでも、そんな人間すらも確保し、無茶苦茶な訓練を課して求める水準にしたてあげていく。
そこまでせねばならぬほど、人手が足りてなかった。




