86話 勤務地の変更 2
「開拓か……」
戦闘部隊が集められてるとなれば、そうなる可能性が高い
モンスターの大量出現という事もありえる。
どちらも、戦闘部隊がいなければ対処できない事だ。
だが、モンスターがいきなり大量に発生するというのは考えにくい。
モンスターも一応生物であり、いきなり出現するという事は無い。
繁殖して数が増え、それらが集まって群れになっていく。
そうして増えたモンスターが、自分達の餌場や住処を求めて移動をしていく。
そういう動きは事前にある程度は把握出来るようになっていた。
ドローンや偵察部隊による警戒、衛星軌道からの地上観測衛星(事実上の偵察衛星)による監視。
これらによって、モンスターの動向もある程度は把握されるようになっている。
その為、よほど大がかりな群の襲撃でも無い限り、戦闘部隊が集められる事はない。
また、モンスターの襲撃が理由ならその報せが先に入るのが通例だ。
それがないということは、もっと別の理由による集結になる。
消去法になるが、開拓がもっとも妥当な結論であった。
それがどれだけ困難な事になるのかも想像がつく。
今までの仕事は兵衛府の防衛で、それとは多少違いはある。
だが、戦闘部隊のやる事に変化はない。
相手が金属の塊から巨大生物になるだけだ。
危険がつきまとう事に変わりはない。
父の仕事がそういった開拓にまつわるものだったので話も聞いている。
開拓地予定地の偵察と、安全確保。
その為の戦闘。
開拓地に常駐しての警備と、周辺を探索して危険がないかの確認。
モンスターなどを発見したら、可能な限り駆逐する。
そんな事を延々と繰り返すという。
それはそれで気の滅入る話である。
とはいえ、移動は既に決まってしまっている。
拒否する事は出来ない。
大量の部隊が集められてるというから、会社も本気なのが分かる。
そこから逃れる事が出来るとは思えない。
会社を辞めればどうにかなるだろうが。
そうなったとしてどこに行くのかを考えねばならない。
学校卒業後、ずっと戦闘をやってきた人間を抱えるところがそうそうあるとは思えない。
あるにはあっても、ほぼ確実に同じような仕事をする事になる。
となれば、いる場所が変わるだけで、やる事に変化は無い。
いずれどこかで似たような事をやる羽目になる。
何にしろ戦闘から逃れる事は出来ない。
(腹をくくるしかないか)
色々と諦めて、現状を受け入れる事にする。
どのみち、この世界にいる以上、開拓から逃れる事は出来ないのだし。




