74話 富国があって強兵が達成出来る
こうした兵器の量産をしていく事が決定されていく。
とにかく数がどうしても必要になる。
敵はそれだけ脅威であるし、対抗するには現状だけではとうてい足りない。
自治体としては異常なほど強力な軍備を備えているのだが。
敵はそれ以上に強力であった。
より強力な兵器で強固な防衛線を造りあげねばならない。
また、敵地に侵攻して敵施設を破壊、拠点となる場所を制圧せねばならない。
でなければ、いつまで経っても戦いは終わらない。
この戦争を終わらすために、敵の壊滅は必要不可欠である。
専守防衛に徹するわけにはいかなかった。
そんな事をしていれば、いつまでも終わらない戦争を続ける事になる。
敵拠点に侵攻し、確実に息の根を止める。
トンネルの向こう側はともかく、こちら側にある全ての敵を殲滅する。
それだけが争乱から解放される手段だった。
その為にも軍備の増強は必要不可欠である。
最低でも、敵を圧倒出来るだけの能力を。
それを出来るだけ数多く揃える。
そうしていかないと、防衛もままならない。
何よりも、それが出来るだけの産業基盤が必要だった。
それを今の状態のままにしておくわけにはいかない。
日本本国と肩を並べるほどにはなれなくても、今の状態よりは更に生産性を上げねばならない。
これが出来てはじめて敵に対抗しうる体制を作る事が出来る。
単に優秀な兵器を作るだけでは駄目なのだ。
数を揃える事が出来る状態を作って始めて戦力になる。
その戦力を作り出すためにも、生産性を上げねばならない。
急がば回れであった。
直接的に兵器の増産などをするわけではない。
それを支える産業を興し拡大していく。
物を作るための土台を拡大していく。
これがなければ設備の拡大もままならない。
まずは生産力の余裕を作る必要があった。
何せ、採掘した鉱石を原材料に加工する精錬所すら足りないのだから。
「では、まずは精錬所などの建設と、採掘のための機器や施設の設置で」
「そうだな、やはりそこから進めないと」
新地道自治体の中枢で決定が下される。
「今年度はもうどうしようもないが、来年度の予算案は大幅な修正が必要になるな」
「議会をどうにかして通さないと」
「議員のセンセイ方をどう動かしたもんだか」
方針が決まったとて、まだまだ解決せねばならない問題はある。
それらを口にしながら、政策を決定した彼等は動き出していく。
これをやらねば先はないのだから。
ここで生きていかねばならない以上、無理でも何でも通すしかない。
「ま、やれるだけの事はやろう」




