71話 兵器開発事情 4
戦車がそうであるように、戦闘機も原型からかけ離れた性能を持つようになった。
日本の戦後最初の国産戦闘機でもある、第二世代ジェットのF1戦闘機。
これもまた、新地道において再生していく。
全く別の存在のようになって。
再生産の段階でこの戦闘機は改修を余儀なくされてもいた。
使っていたエンジンをそのまま用いる事に問題があったからだ。
現役で運用されていた当時から推力不足が指摘されていたエンジンである。
それをあらためて再生産するのもどうかと言われていた。
その為、国産でほぼ同等の大きさを持ち、なおかつ推力の大きなエンジンを用いる事となった。
ただ、このエンジンがF1戦闘機にもともと使われていたものとは大きさが若干違う。
そのための調整を余儀なくされ、おかげでもともとの形での再生産すらも出来なかった。
それに、推力が大きくなるので、それに耐えられる機体強度も求められる。
これもあって、F1戦闘機の再生産までには少々時間がかかる事となった。
しかし、その為に再生産一号機の段階で元々の能力を上回る事となった。
高い推力を持つエンジンの恩恵は大きい。
これのおかげで再生F1戦闘機にはより大きな可能性が与えられた。
もともと機能拡張や性能向上も求められていた。
その要望に応えるやすくなったのだ。
エンジンの力に余裕があるから、機体を多少重くしても差し支えない。
重くなっても、飛ばす事が出来るのだから。
これが改修改造にあたって大きな強みになった。
改造はまず翼の拡大から始まった。
翼が大きくなればその分だけ揚力も増える。
それに、拡大された分だけ、翼の下にぶら下げる事が出来るミサイルや爆弾なども増やせる。
また、超音速性能を手に入れる為に、薄くしていた翼も厚みを持たせた。
強度を上げるためである。
更に胴体の横幅も増えた。
というより、もともとが細かったので、無理のないくらいの大きさにしたと言った方が良いのかもしれない。
これに合わせて全長も短縮した。
それでも機体の容量はむしろ増大した。
これにより、機体に搭載していた電子機器の収納空間にも余裕が出て来た。
おかげで操縦席後方に搭載していた機器などを機体内におさめていった。
その結果、後方の視界を確保する事が出来るようになった。
空気取り入れ口も大きくして、新しいジェットエンジンに対応していった。
単純な全長は、17メートルあまりから16メートル以内になった。
翼を含めた横幅は、7メートル台だったものが10メートルにまで拡大された。
外見だけでなく、内部も変わっている。
レーダーや航法装置、火器管制装置などは新しいものになっている。
それらは既存の電子部品を多く用いて作ったものだが、それでも性能はかつてのものよりも高い。
部品一つ一つの性能が、かつてのものより高いのだ。
高級品を使ったわけではない。
現在作られてる電子部品は、50年前の物よりも性能が高い。
同じ大きさならばより高い性能を持っている。
それらを使っていけば、普通に組み上げるだけでもかつてのものより高性能になる。
おかげで各種機器は原型機よりも高い能力を持つ事となった。
他にも様々な改修を加えられた結果、戦車と同じように戦闘機も別物と言って良いものになる。
外見も性能も。
そしてこの改修を重ねたF1戦闘機も、戦車のように新たな名前が付けられる。
新地道において4番目に採用された戦闘機、4号戦闘機と。




