70話 兵器開発事情 3
だが、改修されていった旧式兵器達は、思いもよらない変化をとげていく。
それは進化といってもよいものだった。
なにせ、第二世代の兵器となると、ほとんどが1970年代に開発・制式化されたものである。
そこから既に50年は経過している。
その間に進歩した技術を用いれば、性能の向上もそれなりに見込める。
その結果、予想以上の性能を持つに至ったものは多い。
兵衛府の戦闘において予想以上の活躍をした戦車もその一つだ。
1974年に制式化された74式戦車をもとにしたこれは、現在では全く別ものといってよいものになっている。
使ってる砲は105ミリのままであるが、それ以外の部分はかなりの手が加えられている。
おかげで外見もかなりの変化を見せていた。
まず、丸みをおびた砲塔は、現代的な四角いものに変わっている。
避弾経始を考えた丸みを帯びた砲塔は、この世界において必要がなかった。
砲弾を飛ばしてくるような敵が存在しないのだから。
なので、砲弾を受け流すような丸みが必要ない。
それよりも、砲塔の内部容量を増やすために四角い形をした方が利点があった。
こうする事で、砲塔正面に射撃に必要な装置を内蔵する事が出来るからだ。
当然ながら、射撃用の照準や暗視装置などもかつてのものより性能は向上している。
また、広くなった砲塔の内部に、射撃用の制御装置や自動装填装置なども組み込む事が出来た。
これにより、後の世代の戦車で可能となった走りながらの射撃が可能となった。
いや、走りながらの射撃そのものはそれ以前の戦車でも可能ではあっただろう。
だが、その場合、命中律が極端に落ちる事になる。
なのだが、改造された戦車は、走りながらでもかなりの命中率を叩き出すようになった。
次の世代の戦車ほどには命中率は高くないが、それでも充分な性能を示した。
これもこの世界においては過剰な能力ではあったが。
更にエンジンもより強力なものに代わった。
エンジンも馬力があがり、それにともなって足回りの各所にも手が加わった。
その結果、最高時速は53キロから64キロまで上昇した。
こうして74式戦車だったものは、驚異的な性能向上をはたす事になった。
これらに加えて大小様々な改修を加えていった結果である。
それでも地球にはより強力な戦車が存在するので、主力というほどの力はない。
だが、この異世界においては充分以上の戦闘力を発揮する。
新地道の自治体や技術陣、関連する企業に研究成果を提供した大学などのもたらした成果である。
こうして改修されていった74式戦車の発展型は、新たに3号戦車と名付けられた。
新地道が採用した三番目の戦車という意味で。




