66話 今後の展望について、自治体における苦悩 4
とにかく、敵が数で押してくるのははっきりしている。
そして、一つ一つは現有兵器で倒す事が可能であるのも。
ならば、無理をしてより高性能な兵器を新規で開発する必要性は少ない。
現有兵器を更に増大し、銃弾や砲弾などの消耗品を更に増やせば良い。
手っ取り早い対処としてはそうなっていく。
また、クラスター爆弾などの広範囲攻撃が出来る兵器も必要になる。
敵は圧倒的な数で攻めてくるので、それを撃退する必要がある。
その為には、狭い範囲に巨大な火力を当てる必要は無い。
敵はそれほど強靱でもないので、そこそこの攻撃を可能な限り広く展開する方が望ましい。
クラスター爆弾などはその為にうってつけであった。
また、地雷などもかなり有効な手段となる。
ホバーのように地表から浮き上がってる天使には一見効果がなさそうではある。
だが、広範囲に散弾銃のように金属片をばらまく対人地雷は意外と有効であった。
天使の表面を覆う金属は、それで充分に貫通出来る。
これらを大量に設置して起爆させていけば、進軍を阻止する事も可能だ。
事前に設置しておかねばならないが、それさえしておけば撃退手段として有効である。
何より、手軽に持ち運べるのが大きい。
地雷一つの大きさや重さは、人間が余裕で持ち運べるくらいである。
これもまた見逃せない利点である。
また、戦車の有用性も今回証明された。
水平射撃によって敵を大量に貫通していく砲撃は、一気に敵を殲滅する可能性ももたらした。
これを大量に配備出来れば、今後の防衛に役立つ事だろう。
また、数がいれば交代も容易になる。
何せ戦車一台に積み込める砲弾は、おおよそ50発。
それらを撃ち尽くした場合の交代要員はどうしても必要になる。
その為にも、ある程度の数は揃えておきたかった。
また、敵地への直接攻撃のために、爆撃機も欲しいところである。
今回、敵の生産設備を破壊出来たのが戦闘の終結に繋がった。
後続となる天使を生産出来なくなったために、敵は進撃を停止せざるえなくなった。
もし、工場の破壊が出来てなかったら、最終的に兵衛府も陥落していただろう。
敵後方への攻撃は必要不可欠である。
その爆撃への護衛となる戦闘機も必要になるかもしれなかった。
今の段階では、爆撃機が飛ぶような高度まで敵はやってこない。
だが、この先はどうなるか分からない。
何らかの手段で迎撃が行われる可能性もあった。
それが高射砲や対空ミサイルのようなものなのか、戦闘機のようなものになるのかは分からない。
もっと別の手段になるかもしれない。
だが、もし戦闘機のように同じ高度まで迎撃に上がってくる敵が出現するなら、護衛の戦闘機は必要不可欠になる。
そうなると戦闘機の数も増やさねばならない。
単純な攻撃力だけでなく、探知のためのレーダーなども必要になる。
敵がどこからやってくるのかを即座に探知出来ねば意味がない。
その為に敵地を警戒するための設備が求められる。
相手の姿が見えないのであれば、兵力や戦力があってもそれらをどこに向かわせればいいか分からないからだ。
見る、聞く、感知するというのは、部隊を展開させるために必要になる。
部隊を移動させるために輸送手段も。
海上輸送用の輸送艦、その護衛のための戦闘艦艇。
今回必要になった、航空輸送用の輸送機も。
平常時の移動にも、緊急時の輸送にも足となる存在が必要である。
もちろん、兵器だけではない。
兵士を育てるための訓練施設や教官も必要になる。
これらも大幅に拡大する必要が出て来ると思われた。
今後、軍そのものを拡大するとなれば、こういった教育の部分も必要になる。
だが、これもまた難問である。
人を教育できる者というのはなかなかいるものではない。
教官を育てるのも今後の課題になっていくだろう。




