65話 今後の展望について、自治体における苦悩 3
企業や自治体がそれぞれの動きを示す中、新地道の軍も相応の動きを見せていく。
自衛隊とは別に新地道が抱える戦力、軍と呼ばれるそれらも、支持を受けて計画を策定していった。
目の前の敵に対して、軍として何をするべきかを。
当然ながらそれは戦力の拡充になる。
だが、単に兵力を増大するだけというわけではない。
戦闘を実施する兵力だけでなく、それを支える後方支援。
各部隊の動かし方を定める作戦。
部隊の配置を含め、平常時にはどこに何をどのように展開するか。
諸々の要素を含めた全てをもって戦力という。
単に数を揃えるだけでは、武器を集めるだけでは戦力や兵力とは言えない。
それをどうするかを決めるために、軍の首脳部も脳漿を絞る事になる。
とにかく優先されるのは兵衛府の戦力拡充である。
現地の基地の拡大拡張も含め、早急に対応せねばならない。
まずは机上の計画だけになるが、それが決まらない事には先に進めない。
何がどれだけ必要になるかを考えていく。
特に、崩壊している最前線の再構築は急がねばならなかった。
必要になる兵器も考えていかねばならない。
既存の兵器で充分ならば、それの量産体制の確立を。
新規に開発する必要があるならば、早いうちに始めねばならない。
どちらも時間がかかる事なので、出来るだけ早く決めていかねばならなかった。
遅れれば敵の再侵攻に間に合わないかもしれないのだから。
幸いな事に、敵への攻撃は現有兵器だけでも充分という事が分かっている。
問題なのは数であり、これらが充分に用意出来なかった為に、今回は前線を突破されてしまった。
自動機銃座などがもっとあれば、固定砲台がもっとあれば、敵の侵攻を最前線で食い止める事が出来た。
銃弾や砲弾が足りなかった事も問題である。
敵の数を見誤っていたのが大きい。
もっとも、これは敵である天使共についてよく分かってない事が大きい。
当初想定していた事よりも、敵が数多かったのだ。
それでも軍部は、人類の常識の範疇からすればかなり大きく敵を見積もっていた。
敵はそれを更に上回っただけである。
これは致し方ないと言える。
だが、それでも実際に敵と相対し、実際にどう出てくるのかは実証された。
今後はそれをもとに考えていけば良い。
足りないものがあるならば、そこを補えば良いし、それを考えるのは容易になった。
もっとも、そんな今回の起こった事を、次回は更に上回ってくるかもしれない。
それも覚悟して様々な事を考えていく必要がある。




