57話 親子の語らい
「元気そうだな」
「まあね」
戦闘が終わって暫くして。
最前線で戦っていた息子と、補給部隊と共にやってきた父が面会をしていた。
「よく粘ったな」
「まあね」
「ま、話は後でだな」
そう言ってヒロキは持ち場に戻っていく。
戦闘そのものは終わったが、やるべき作業は残っている。
物資をおろし、回収するべき物を積み込んだ輸送部隊の護衛がある。
敵が出て来る可能性はほとんど無いだろうが、それでも念には念を入れねばならない。
「じゃあ兵衛府で」
「はいよ」
とりあえず二人はそう言って分かれた。
敵を撃退した兵衛府は、戦後処理におわれていった。
死傷者への対応や破壊された設備の復旧。
当面の防衛体制の構築に、一旦停止していた業務の再開。
避難民への安全宣言と、住居への帰宅。
今までの日常を取り戻すために必要な事が行われていった。
とはいえすぐに復旧するわけもなく、日常が戻ってくるまでには少々の時間が必要となる。
それでも徐々に兵衛府は今までを取り戻し、生産活動や日常が始まっていく。
兵衛府そのものに攻撃がなされてなかったのは大きかった。
工場などが破壊されていたら、復旧に何ヶ月もの時間が必要になっていたであろう。
そんな兵衛府に戻ってきたタクヤ達は、まずは身体検査を受けた。
怪我や疲労などの影響が無いかを確かめるために。
幸い、怪我らしい怪我もなく、長時間の行動による疲労が認められただけにおわる。
その為、二日の休暇を与えられ宿舎に戻された。
今のタクヤ達に必要なの睡眠を得るために。
そこで24時間以上の睡眠をとってから仕事に復帰させられる。
「人使い荒いよな」
「全くです」
タダヒロと共にぼやきつつ、与えられた仕事に戻っていく。
その後、戻っていった最前線で、再度の襲来に備えた警戒にあたる事になった。
結局戦闘部隊のやる事は変わらない。
この世界にもともといたモンスターや、更に別の世界からやってきた金属の塊を相手にする事になる。
幸いどちらもさほど遭遇する事が無いので、警備自体は楽な仕事になっている。
モンスターは天使共がかなり掃討してくれたようで数が減っている。
そして天使も前回の戦闘でかなり数を減らしている。
大がかりな戦闘は当面は無いだろうと思われていた。




