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【仕切りなおし】異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~【打ち切り】  作者: よぎそーと


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44話 目に入ってくる敵の姿

「敵が兵衛府に来たそうです」

「そいつは……」

 山城から話しを聞いたタクヤは、さすがに言葉を失った。

「防衛部隊がいるから簡単には突破されないでしょうけど。

 でも、対応を間違えるととんでもない事になります」

「でもまあ、さすがにそう簡単に負ける事はないでしょう。

 戦力だってあるんだし」

「だといいんですけどね。

 でも、こっちへの物資補給はこれで途絶えましたから。

 ここから先もう少し頑張らないとどうにもならないですよ。

「まいったな」

 どうにか最悪の事態を避ける事が出来たと思ったらこれである。

 相変わらず状況が酷いものである事を感じさせる。

「まあ、悩んでもしょうがない。

 とりあえずここはどうにか守りますか」

 まずは目の前の問題に目を向けていく。

 兵衛府がどうなろうと、タクヤに出来る事は無い。

 目の前の敵を倒すので精一杯だ。

「本当にうじゃうじゃわいてきやがる」

 鬱陶しそうに吐き捨ててタクヤは現場へと戻っていった。



 合流して巨大化した前線部隊は、もちうるあらゆる火力を使って迫る敵を撃破していた。

 タクヤ達が回収してきた分と、途切れる前に運び込まれた物資があるので、戦闘そのものは暫く続けられる。

 人数の余裕があるので交代も出来る。

 それでも見渡す限り敵だらけという状況は士気を著しく下げる。

 倒しても倒しても敵が減らない。

 残骸は増大しているが、迫る敵の数はさほど変わってない。

 後続は減ってるというが、その気配は感じられない。

 それでも前線部隊はありったけの火力を敵に向けていく。

 もうそれはルーチンワークといってよい程に同じ事の繰り返しになっていた。



「にしても」

 前線で銃を撃つ者が面倒くさそうにぼやく。

「あいつら、本当になんでこっちに向かってくるんだか」

「さあな」

 隣の者が、これも面倒くさそうに応じる。

「そんな事よりさっさと撃て。

 近づいて来たら面倒だ」

「はいはい」

 そう言って引き金を引いていく。

 狙いはあまりつける必要がない。

 まっすぐに向かってくるので簡単に照準をつけられる。

 特に狙わなくてもそれはさほど難しくはない。

 むしろ、次々に撃てるほど簡単な的である。

 だが、数がやはり多い。

 機関銃や迫撃砲、生き残ってる砲座などが対処してるが、それだけではどうにもならない。

 押し寄せる敵が消えないことには、やはり押しつぶされてしまう。

「早くあいつらが消えてくれればいいけど」

 敵の生産施設が破壊されていってるのは聞いている。

 だが、それが効果をあらわすのがいつなのかと思ってしまう。

 もし本当に敵の増援が消えて行くというならば、いますぐにでもそうなってほしかった。



 敵。

 あらためて目の前にいる連中を見て、戦闘を続行してる者達は辟易としていく。

 見慣れた姿。

 何度も戦場で見てきたそれ。

 いつになれば消えるのだろうと何度も思ったもの。

 それらが幾つも目の前にあらわれている。

 機械の体をもった存在。

 意志の疎通が全く出来ない相手。

 それらがずらっと並んで進んでくる。



 姿形を言い表すのは難しい。

 最も似通ってるものをあげるとすれば、モアイであろうか。

 人の頭を模した巨大な石像。

 それに近いと言えば近いかもしれない。

 細長い体に凹凸があり、それらが人間の顔のように見える。

 ただ、完全に人間の顔の形をしてるというわけではない。

 ある者はそれを、「女の体みたいだ」とも言った。

 なるほど、敵機械の姿は女性の手足と頭のない女性の体のように見えなくもない。

 なだらかな曲線を描く凹凸は、顔でなければそう見えるかもしれない。

 もっともそれも、見ようによってはそう見えるというだけである。

 造形を無理矢理自分達の知る何かに例えよう、関連づけようとする人間の本能によるものだ。

 創作者がそれらを元にして作ったというわけではないだろう。

 だが、そうであったとしても、偶然の一致であったとしても、そう見える何かではあった。



 それらは底面から空気か何かを噴出して地面から浮かび上がっていた。

 ホバークラフトと同じようなやり方なのだろう。

 これにより地形の影響を受けずに進む事が出来る。

 また、背中からは推進用の噴射が行われてるようで、これが前に進む手段になっている。

 本体から生えたような、あるいは別の物品を接合したようなそれは、おそらくは推進の為だけの機関なのだろう。

 それもまた空気(もしくは別の気体)を噴出している。

 姿勢制御も兼ねてるのか、比較的大きく拡がってる。

 本体よりも横幅などは大きいかもしれない。

 機能性を求めてそういう形になったのだろうとは思う。

 だからというわけではにだろうが、敵の背面にあるそれは、広げた翼のようにも見えた。



 それらをあわせて、人はあるものを想起した。

 神話や伝承にある存在。

 人知を超越したもの。

 より高位の存在に仕える者達。

 敵という言い方の他に、人はそれらをこう呼んだ。



 ──天使。

22:00に続く

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新しくやりなおしてる↓
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n8924fg//

前編にあたる話はこちら。
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n5916es/

ブログのほうでも幾つかは掲載している。
『よぎそーとのブログ』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/
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