43話 突破と合流 2
味方の所へ向かう途中、タクヤ達は補給所跡に入っていく。
戦線を構築する陣地、その中に作られた物資集積所。
放棄されたそこに立ち寄り、一時的にそこで足を止める。
もちろん敵が寄ってくるが、それらを撃退していく。
その間にトラックに乗っていた兵員が補給所へと入っていく。
中に物資が残ってるかを確かめに。
『あったぞ!』
通信機から報告が入る。
『弾薬に燃料、かなり残ってる。
ほとんど手がついてないみたいだ』
「よし、運び出せ!」
すぐに指示が出てそれらが外に持ち出される。
これをすぐ近くに陣取ってる味方に渡さねばならない。
タクヤ達にも必要だが、それはまだ余裕がある。
まずは残り少なくなってるという味方の方が先だった。
とはいえ、全てを味方に渡すわけでもない。
必要な分は確保していく。
補給や補充が必要なのは拓也達も同じなのだから。
補給所跡から100メートルと離れてない所にいる味方。
そこまで物資を運びこみ、必要なものを渡していく。
弾薬や燃料を補充を受けて、火力を回復させていく。
即座に反撃を開始する味方は、ギリギリの所で生き残る事が出来た。
なのだが、それで終わりではない。
ここに立て籠もっていても、いずれは潰える。
今はただ、それまでの時間を引き延ばしたにすぎない。
ここから移動し、更に他の部隊と合流せねばならない。
その為の動きが始まっていく。
幸い、車輌などは建材だったので、移動手段は問題無い。
急ぎ準備が進められていく。
補給所との間を確保し、物資の持ち出しも進んでいく。
弾薬や燃料を手に入れて戦闘力を回復した事で、戦力も増大した。
持ち運べるものは全て車輌に積み込み、そうでないものはここで一気に使っていく。
置いていっても無駄にするだけと、弾丸と砲弾の大放出になる。
周囲の敵がすさまじい速度で減少していく。
頃合いを見て移動を始めたタクヤ達は、次の陣地へと向かっていく。
補給所もまわり、残った物資があれば回収していく。
そうやって孤立した味方の中を渡っていく。
合流した者達と共に的中突破し、放置された物資を回収。
そうしていくうちに、タクヤ達の部隊は大幅に拡大していった。
前線部隊本隊の近くまでやってくる頃には、出発した時の数倍にまで膨れあがっていた。
これにより本隊も戦力に余裕を持つ事が出来た。
また、タクヤ達はそのまま今までいたのとは反対方向に展開する部隊の回収にも乗り出していく。
戦力が増強された事で、救出も容易になっている。
その力をもって、孤立した味方を救出していく。
既に壊滅してる所もあったが、まだ健在な者達もいる。
それらを少しでも助けるため、タクヤ達は敵の中に突入していく。
その都度敵は分断され、長大な流れに亀裂を走らせていく。
にも関わらず、いまだに前線部隊は周囲を敵に囲まれて続けていた。
更に状況の悪化を示すような事態も起こっていく。
ついに敵の先頭が兵衛府防衛戦に到達した。
前線部隊は、かろうじて確保していた輸送路も失っていく。
これにより前線は完全に孤立。
生き残りの前線部隊は、敵に囲まれた陸の孤島となった。
あちこちから回収してきた物資があるからまだ戦えるが、それもいつまで続くか分からなくなってきた。
20:00に続く




