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【仕切りなおし】異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~【打ち切り】  作者: よぎそーと


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41話 襲来 18

 タクヤ達の行動は概ね決まった。

 あとは時間が車で待つ事になる……はずだった。

 しかし、それも敵の動きを考えてのこと。

 周囲の状況も踏まえての事。

 それらに異変が起これば話しも変わってくる。

 比較的良好に戦闘をこなしていたタクヤ達は、そうやって多少の余裕を得る事が出来ていた。

 なのだが、周囲はそうではない。

 時間の経過と共に不利を強いられていく。



 無線で連絡をとりあっていたタクヤ達もそれは理解していた。

 最も近くにいる、そして同じように孤立していた部隊は、今にも壊滅しそうになっていた。

 押し寄せる敵に対応が出来ず、物資などを集めて固まる事も出来ずにいた。

 前線に取り残された多くの部隊がそうなっていた。

 タクヤ達の近くにいた者達もだ。

 その為、敵の後続が途切れるまで保ちそうもなかった。

 弾薬も残り少なくなり、適中突破はおろか、現在の陣地を守りきる事も出来なくなっている。

 彼等が無能であるからというわけではない。

 周辺部隊が戦線を維持するために最後まで頑強に抵抗したこと。

 物資を補給所でしっかり管理していたこと。

 これらの結果である。

 守るべき規則や規律を守った結果である。

 勝手に持ち場を離れ、物資も勝手に移動させていったタクヤ達の方がよっぽど悪逆非道である。

 だが、負けてしまえば意味が無い。

 死んでしまっては元も子もない。

 物資も、行き渡らずに放棄してしまっては無駄になる。

 規則や規律を守る為に、最も守らねばならない勝利を失っていてはどうしようもない。

 そもそもとして、規律などは勝利のため、最終目的達成のためのものである。

 それを遮るなら存在価値がない。

 目標達成の為にあるべきものが、目標到達失敗の原因になってるのだから話しにならない。

 本当に守るべきものを見失い、手段を遵守しての結果である。

 それは残念ながら褒められる事ではない。

 失態と言っても良いだろう。

 それは敗北と死によって償う事になる。



「とはいえ、見捨てるわけにもいかないよな」

 タッチパネル画面の地図を見ながらタクヤは呟く。

 仲間の窮地の同情してるわけではない。

 それらが壊滅すると、今後の戦闘で不利になるのを恐れてるのだ。

 見知らぬ誰かに気持ちを寄せられるほどタクヤは人間が出来てない。

 とはいえ、それは多くの人間もそうであろう。

 知り合いならば様々な感情がわき起こる事があっても、関係のない他人相手にまで気持ちが動く事はほとんどない。

 そこまで相手を思いやれる人間は少数派であろう。

 そんなタクヤのこと、攻撃を受けてる仲間を、戦力という数字で判断していた。

 また、自分らが逃げ込む場所の確保が出来なくなる事への危惧もあった。

「ちょっと早いけど動くしかないか?」

「危険ですね。

 おすすめは出来ません」

 森山が常識的な事を言う。

 やらねばならない理由は分かるが、自分達の被る損害を考えると賛同も出来なかった。

 とはいえ、放置して味方が壊滅した場合の事を考えると、見捨てる事も得策でないのは分かってる。

「何とかなればいいんですが」

「無理だろうな。

 周りは敵だらけだし、救援も来ないし」

 増援部隊は到着してるらしいが、空輸では数も限られている。

 それらをあてにする事は出来なかった。

「ここで動けるのは俺らだけ」

「なんとも、酷い話しですね」

「まったくだ。

 俺達、ここを守るだけで良かったはずなのにな」

 今もそれは変わらない。

 そう考えるとめざましい活躍である。

 戦線崩壊してるにも関わらず、まだ部隊として行動してるのだから。

「でも、それだけに留まってるわけにもいきそうにないですね」

「そうだな。

 やるしかないんだろうな」

 あとあとの事を考えると、ここでこれ以上待機してるわけにもいかない。

「やるか」

 そう言ってタクヤは、周りの者達に声をかけていく。



「なるほど」

 話しを聞いた山城も、言いたい事は理解していった。

 このまま味方部隊を放置するわけにもいかない事を。

 危険は危険だが、今のうちに行動を起こしておかないと危険である事を。

「合流する予定の味方がいなければ、こちらも危ないですからね。

 目的地が壊滅したら、移動距離も長くなりますし」

「そんなわけで、出来れば今すぐにでも動き出したい」

「分かりました。

 他の指揮官にはこちらから伝えておきましょう」

 これでタクヤ達の行動はほぼ決まった。

 あとは、実際に動き出すだけになる。



 予定よりも早い移動が開始される。

 設置されていた機関銃や迫撃砲が回収されていく。

 物資も出来るだけトラックなどに積み込まれていく。

 とはいえ、これらはもともとすぐに動き出せるよう、大半を積み込んでいたので、作業はそれほど残っていない。

 在庫一掃の勢いで弾薬などは用いられていたので、持ち運べないものも残ってない。

 そもそもとして、敵が多くて弾丸などをけちってる余裕もなかった。

 兵士や戦闘員も車輌などに乗り込んでいく。

 置き土産で爆弾をくくりつけた石油入りのドラム缶も残された。

 時限式の起爆装置により、タクヤ達が出払った後に派手に爆発するようになっている。

 同じ手に敵がひっかかるか分からなかったが、念のためである。

 上手くいけば儲けものだ。

 そんなつもりでタクヤ達は陣地から飛び出そうとしていく。



「全員乗り込んでるかな」

「こればかりは何とも。

 それより気をつけてくださいよ。

 班長、バギーなんだから」

「分かってるって。

 それじゃ、お互いがんばろう」

 そう言ってタクヤはバギーを走らせていく。

 後ろの牽引車には、今まで通り戦闘員が2人乗り込んでいる。

 ついでに、予備の弾薬なども積み込んでいる。

 戦闘中に弾切れにならないようにするためだ。

 あとは、少しでも物資を持ち運ぶためである。

 おかげで重量が重くなり、速度が出なくなりそうだった。

 他の車についていけるか不安である。

 また、防御力にも不安がある。

 体が剥き出しなので、攻撃されたらそれで終わりになる。

 出来るだけ敵との距離を保つよう心がけるしかない。

 とはいえ、大量に迫る敵を相手にそんな事が出来るとは思えない。

(どうにかするしかないけど)

 車輌に乗ってる連中が羨ましかった。

 今更どうする事も出来ないが。



 様々な不安を抱えながらも、タクヤ達は敵へと向かっていく。

 陣地を放棄し、いまだ周囲を覆い尽くしてる軍勢の中へ。

続きは明後日の予定

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新しくやりなおしてる↓
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n8924fg//

前編にあたる話はこちら。
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n5916es/

ブログのほうでも幾つかは掲載している。
『よぎそーとのブログ』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/
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