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【仕切りなおし】異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~【打ち切り】  作者: よぎそーと


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23話 末端における状況は相変わらず大きくなっていく

「でもまあ、人が増えて楽にはなってるんじゃないですかね」

「どうだろうなあ」

 森山の言葉に、タクヤは苦笑せざるえない。

「そう言うけど、あれを見てそう思えるの?」

「まさか。

 冗談でしか言えませんよ、こんな事」

 並んでる新人達や、やってきた新人幹部などへの評価はそんなものになっていく。

 即席でつくられた要員達の仕事ぶりは、想像通りに酷いものだった。

 新人が使えないのはいつもの事で、それ事態は仕方ないものがある。

 だが、それらが大量に送り込まれて来ると現場は混乱する。

 それらをまとめる指揮官であるか幹部候補達も同じような状態だ。

 受け入れるタクヤ達はたまったものではない。

 それでも笑うだけの余裕があるだけマシというべきだろうか。

 それとも、笑うしかない状況に泣くしかないのだろうか。

「これ、上手くやっていけるんですかね?」

「やるしかないのは分かってるでしょ」

 タクヤはそう言って新人達を眺めていく。

「来たもんはしょうがないんだから。

 期待してますよ」

「はいはい。

 出来る事はがんばりますよ」

 そう言って森山は自分の仕事に向かっていく。



 経験者という事でタクヤ達の班に大量の新人が送り込まれてきていた。

 いずれもまだ十代半ばといった者達である。

 中学卒業後にそのまま就職。

 半年の新人研修の後にタクヤ達の所に配属になった。

 7人しかいないタクヤ達の班に、20人ほどがやってきた。

 まとめようと思ってもまとまるものではない。

 それをどうにかして束ねて仕事をさせねばならない。

 やむなくタクヤは班員を分割し、それぞれの下に新人をつける事にした。

 二人一組にしたもともとの班員の下に、6~7人の新人を押しつける。

 タクヤ以外の者達が新人を引っ張る形になった。

 そしてタクヤは、新人を引っ張る連中をまとめる事になる。

 もっと上手いやり方もあるかもしれないが、集団の統率方法としてこんなものしか思いつかなかった。

 全部をタクヤが率いるのはさすがに無理がある。

 ある程度分割し、それを経験者に任せるしかなかった。



 仕事を教えるのはそれなりに苦労したが、それもさほど長くは続かなかった。

 護衛そのものはさほど難しいものでもない。

 車に乗ってるなら、そこから敵に銃を向けて撃てばいい。

 それ以外の場合は、レーダーや目視による脅威の発見につとめるだけ。

 作業そのものはさして多くはない。

 車輌を扱う者達の場合は、もうちょっとだけややこしくなる。

 護衛対象との位置関係を把握しながら動かねばならない。

 敵が襲ってきた場合の動き方もおぼえねばならない。

 このあたりは慣れと経験が必要になる。

 新人でバイクやバギー、自動車を扱ってる者達には荷が重い。

 こういった者達は、就職後に研修で免許をとったばかりだ

 それらに熟練した者達と協調した行動を求めるのは無理である。

 なので、敵が出てきた時も、これらには輸送トラックと共に移動していくよう指示を出している。

 戦闘などは、慣れてる者達でまずは片付けていく。

 新人は、とにかく乗ってるものを動かせるようにならねばならなかった。

 とりあえず、毎日運転をさせて体に馴染ませる。

 幸いにも、輸送物資には事欠かないので朝から晩まで走りっぱなしである。

 新人達の運転はすぐにそれなりのものになっていった。



「あとは戦闘の時の動き方をおぼえてもらえばいいんだけど」

「さすがに、簡単にはいかないでしょうな」

 森山が現実をつきつけていく。

「普通に運転するだけならどうにかなりますけど、戦闘となると」

「簡単にはいかないよな」

「車から撃つだけならどうにかなるんですけどね」

 射撃には誰もが慣れてるのでさほど問題は無い。

「これも実際にやってみないとどうにもならないですよ」

「やっぱりそうなるよな」

 訓練で多少はやり方をおぼえさせたいところではある。

 なのだが、その余裕がほとんどない。

 仕事が終わって戻ってきたら、就業時間は終わっている。

 無理して訓練しようにも、訓練施設がほとんどない。

 場所すらもなかなかない。

 どうにかしたいが、どうにもならなかった。

「あれのおかげでどうにかなってるけど」

「なんだか泣けて来ますね」

 タクヤ達は苦笑する。



 実地での練習が出来ない代わりに、という事で活躍してるものがあった。

 運転を想定した仮想実験機……などと言えば格好良いのだろうが。

 残念ながらそこまで本格的なものではない。

 比較的手軽に手に入れられる、一般的に普及している手段。

 ゲームである。



 異世界におけるモンスターの存在は、ゲームにおいても一定の人気を得る事になっていた。

 そして、現実に起こってる出来事をもとにしたものが作られている。

 航空機によるモンスターとの戦闘。

 FPSやTPSと呼ばれる射撃ゲーム。

 もちろん、車輌を操作してモンスターと戦うものもある。

 これらの中で、もっとも実戦に近いものを練習代わりに用いていた。

 所詮はゲームであるが、これが意外とばかにならないものがあった。

 可能な限り現実的なものを再現してるこれらは、擬似的な戦闘訓練にはそれなりに使えた。

 ゲーム制作会社がわざわざ現地を視察してまで取材してるくらいだ。

 もちろんゲーム的な誇張は数え切れないほど盛り込まれている。

 だが、一部のゲームには、ゲームとしての誇張を抜きにしたリアルモードが搭載されてるものがある。

 このリアルモード、その名の通り可能な限り現実を再現してる。

 これらを使えば、室内にいてもそれなりに議事訓練をする事が出来る。

 あとは、画面ではなくVRのヘッドセットを頭にかぶれば良い。

 現実に酷似した場面が視界にひろがる事になる。

 恐ろしい事に、これらによって新人の運転技術は確かに上がっていた。



「最近のゲームは、本当に良くできてますよね」

「まったくだ」

 呆れるやらありがたいやら、気持ちは複雑である。

「あの噂が本当なんじゃないかって思えますよ」

「訓練用のシミュレーターってやつか?」

 それはよくある陰謀論ではあった。

 異世界における兵士を養成するために、国や自治体、あるいは秘密の機関が作ってると。

 現実に酷似した環境を手軽に簡単に体験し、それをもとにして即席に兵士を作れるようにする。

 万が一戦闘に巻き込まれたり、徴兵という事になっても、即座に反応が出来るようにする為に。

 こんな馬鹿げた話しが、意外と信じられていたりする。

「確かに、よく出来てるからな」

「考え過ぎだとは思いますけどね」

「少しでも現実に近づけてるってだけだろうしなあ」

「だからそういう噂も出て来るんでしょうけどね」

 馬鹿げてるとは思うが、2人も「そう思うのも無理はない」とは思っていた。

 リアルモードのそれらは、本当に良くできているのだ。

「しかし、ゲームに助けられてるってのもね」

「それでいいのかって思いますよね」

 さすがにそのままゲームをやらせておくわけにもいかない。

 適度なところで、実際に戦闘の動きを練習させようとは思う。

 その機会をどうにかして作ろうと、2人はあれこれと考えていく。

 他の班員も、当然ながらこの話しに加えていく。

 新人を任せている以上、思う所を語ってもらわねばならない。

 不平や不満であってもだ。

 それが今後に活かす材料になるやもしれないのだから。

20:00に続く

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新しくやりなおしてる↓
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n8924fg//

前編にあたる話はこちら。
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n5916es/

ブログのほうでも幾つかは掲載している。
『よぎそーとのブログ』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/
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