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【仕切りなおし】異世界防衛戦記 ~トンネルの向こうは戦場だった~【打ち切り】  作者: よぎそーと


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14話 戦略・企画会議にて

「あまり良くないな」

 情報分析の結果を記した書類を見れば、それははっきりしていた。

「敵施設の建設速度が速くなってる。

 このままじゃ前線の均衡が崩れる」

「爆撃は行ってるみたいだけど、それだけじゃ追いつかなくなってる」

「前線を押し上げる事が出来ればいいけど、敵が増えた今じゃそれも無理だし」

 加速をつけて増大する敵の規模に、戦々恐々としていく。

「どうにかしないとな」

 一井物産における戦略部門の者達は、この状況を打開する手段について検討をしていった。



「とにかく、敵の生産を止めないと。

 このままじゃ消費する弾薬の補充も追いつかなくなる」

「問題は方法だな。

 手段がなければどうにもならん」

「今の段階でも爆撃で前線近くの施設は潰してる。

 それでも後方から敵が追加されてるからな」

「長距離の移動が出来る戦力があればいいけど」

「開発中の爆撃はまだ使えないのか?」

「一応、試験飛行の結果は良いらしい。

 爆弾の投下も可能なようだ」

「じゃあ、量産して配備すれば……」

「それが出来ればいいんだが、自治体がな」

「駄目なのか?」

「問題点を洗い出して、実用に耐えるようにしてくれって言ってるらしい」

「馬鹿な話しだ」

 それを聞いた者達が呆れてため息をもらした。

「試験結果は良好。

 すぐに使っても問題は無いってのに。

 何を二の足踏んでるんだ?」

「悪い意味で完璧主義が出て来てるんだろ。

 今すぐにでも使わなくちゃならんってのに」

「まあ、使ってて壊れちゃかなわんだろうけど」

「それだって、使いながら修繕していけばいい。

 もう時間もないんだし」

「その踏ん切りがつかないんだろうな」

「じゃあ、このまま手をこまねいてるのか?」

 最悪の選択を考えて居合わせた者達が怖気をおぼえる。

 この段階での爆撃の見送りは、滅亡への道を突き進む事でしかない。

 それほど敵の増殖は拡大しており、猶予などない。

 例え問題があろうとも、使えるならば何でも使ってこれを阻止せねばならない状況なのである。



「まあ、軍がやらないってんならどうしようもない」

「それじゃ、前線は崩壊か」

「それだけは避けたいが」

 戦略部門の者達は、どうにかして敵を食い止められないかと考えていく。

 このまま敵が増大したら、遅かれ早かれこの世界を失う事になる。

 そうなれば、この世界における権益を失ってしまう。

 折角やってきたこれまでの投資が無駄になる。

 商売として考えても、それだけは避けたかった。

 何より、この世界から撤退するとなれば、この世界で生まれた者達の居場所がなくなる。

 本土に帰るにしても、その本土での生活手段の確保が難しいだろう。

 それを避けるためにも、敵をどうにかするしかなかった。

「まあ、やってやれない事も無い」

 現状打破の為に、一人が声を上げていく。



「軍が駄目なら、こっちでどうにかするしかない」

 結論が最初に出てきた。

「幸い、試作を兼ねた先行量産機がある。

 これを使って長距離爆撃をやる。

 何回か繰り返せば、敵の増殖をある程度止める事が出来るはずだ」

「そりゃあ、それが出来るなら問題はないけど」

「出来るのか?」

「やる。

 出来るかどうかじゃない。

 もう迷ったり悩んだりしてる場合じゃない」

 手元の資料を手に取って力説していく。

「今すぐやらなければ何もかもが手遅れになる。

 とにかく、今すぐやるしかない」

「まあ、それはそうだが」

「けど、上が承知するかどうか」

「こっちの独断でやるしかないだろうな」

「おいおい……」

 とんでもない発言に周りが驚く。

「そんな事すりゃあ……」

「帳尻があうだけの利益を得られればいい」

 先ほどからかなりぶっとんだ発言をしてる男は動じる気配もない。

 少なくともそうしたところを見せなかった。

「うちの利益として還元されるなら何も問題は無い。

 むしろ、これを絶好の機会にしないといけない」

「けど、どうやって?」

「この大陸の権益。

 それをもらおう」

 言いながら男は、机の上に広げられてる地図を、指でとんとんと叩く。

「敵が蔓延ってるけど、そんなもの片付ければいい。

 うちが、我が社が確実に手に入れられるなら、利益は大きいだろう」

「まあ、資源とかが採掘出来ればそうなんだろうけど」

「してるから大丈夫だ。

 こいつら、どこからこれだけの施設を作る材料を得てる?」

 そう言って今度は手にした資料────敵について論じてるものを叩く。

「資源はある。

 確実にある。

 なくても、連中が作った施設を解体して再利用すればいい。

 資源に戻すのは手間だけど、採掘して加工するよりは楽だ」

 言われて誰も納得した。

「何より、政治に左右されずに活動出来る場所が手に入る。

 これの利益は計り知れん」

「確かに」

「まあ、それはあるかも」

「あとは、商品開発だな。

 軍に正式採用されるのを待たずにこっちで使えば、実戦の経験が手に入る。

 あらゆる開発に使えるぞ」

 並べられた利点に居合わせた者達は、それもそうだと思っていく。



「けど、確実に倒せるならだろ。

 相手の勢いを考えると、それも難しいんじゃ」

「確かにその通りだ。

 このまま押し切られる可能性は高い」

 それを否定はしなかった。

 しても意味が無い。

 厳然たる事実として、そうなる可能性は確かにあるのだ。

「だが、何もしなければ全てを失う。

 だったら、やれる事をやっていくしかない」

「けど、うちだけで出来るのか?」

「無理だな。

 協力が必要だ。

 出来るだけ多く、大きなものが」

「どうやってそれを」

「手当たり次第に関係各社を巻き込んでいく。

 それで参加者が増えれば、それを見てなびいてくる連中も出てくるだろう。

 人間は、大きな所に寄ってくる」

 それは利害や損得を超えた本能と言えるものであろう。

 いや、生き残る貯めにより有利な方を選ぼうというのは、理にかなった行為である。

 それは最大の利益である。

「うちが中心になってやれば、主導権を握れる。

 逃す手はない」

 無理を通す理由としてはそれが一番大きい。

 下請けは下請けでやりようがあるだろうが、充分な力があるなら自分が手綱をとるのが最善である。

「あとはうちの戦力を拡充する事にもなる。

 そうなれば、政治がちょっかいを出してくることもない」

 結局はそこにいきつく。

 どれだけの力を持っていて、それをどう使えるのか。

 それが発言力などに直結する。

「大陸での防衛を理由にして戦力増強を図る。

 まずは爆撃機から。

 あとは順次戦力を増やしていく」

「採算はあうのか?」

「大陸一つのための投資だ。

 充分すぎるほど安い」

「まだ手に入ってもいないぞ」

「大陸一つ分の市場が我が社のものになる。

 長期計画としてなら充分に利益になる」

 それに、と言葉が続く。

「ここで敵をはねのけられないなら、どのみち俺達全員に未来はない。

 全てを無くすか、全部を手に入れるかだ」

 その話を聞いて、居合わせた者達は黙る。

 確かにそのとおりだった。

 半端に何かをやっていても状況が覆るわけではない。

 ならば、無理を承知で大がかりな仕掛けを放つしかない。



 それから戦略部門の者達は、試算をしていく。

 ここで会社が独自に行動することによる利益と危険性。

 将来、大陸が手に入った場合の利益など。

 数十年以上にわたる活動と、それがもたらす費用と利益を大雑把に出していく。

 その結果、彼等は自分達が出した結果に驚く事になる。



「こりゃあ」

「凄いな」

「ああ……」

 話しを持ち出した者すらも、出て来た数字に驚いた。

「もしこの通りに進んだら、とんでもない事になるぞ」

 そこにあらわれてきたのは、一大経済圏だった。

 一社で独占する事が出来る市場と、そこで得る事が出来る利益。

 着実な成長があればという条件付きだが、そこには中堅国家に匹敵する巨大な市場が発生する事になる。

 数十年でである。

「これなら……」

「上を説得できるかも……」

 そう言って彼等はそこから先の言葉を飲み込む。

 もし上を説得出来なかったら?

 その疑問への答えは、造反どころじゃすまないものであるからだ。

 それでも彼等は、自らの胸の内にわき起こってくるその言葉に耳を傾けた。

 ──ならばそれを無視してでも推し進めよう、それだけの価値がある。



 一井物産の中で生まれた小さな発案。

 それは、企業という枠を超えるような大きな流れへと発展していきそうであった。

22:00に続き

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新しくやりなおしてる↓
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n8924fg//

前編にあたる話はこちら。
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n5916es/

ブログのほうでも幾つかは掲載している。
『よぎそーとのブログ』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/
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