100話 中間大陸における業務 11
暗く淀んだ気持ちを抱きながらも、偵察隊は先へと進んでいく。
目的地までは直線距離で200キロほど。
それだけならばさほど離れてるというわけではない。
時速50キロで走っていっても、四時間もあれば到着する。
だが、それはまっすぐに進む事が出来ればである。
まっすぐに通り抜けられない場所など幾らでもある。
通れる場所を探して進まねばならないので、実際には二倍三倍の時間がかかる事もあり得る。
車が上れないような急勾配や、なだらかではあっても岩や段差があれば走る事は出来ない。
また、時折は立ち止まって周囲を探索する必要もある。
だいたいはドローンを使ってやるのだが、場合によっては歩いて周辺を確認する事もある。
途中でモンスターに襲撃される事も考えねばならない。
道無き道を進むというのは、こうした手間がかかってしまう。
幸い、目的地までの道のりで、通り抜ける事が出来ないような地形はなかった。
多少の迂回は必要ではあったが、車輌で進める場所が多い。
その為、進む事事態はさほど困難ではなかった。
迂回による時間や距離の増大、燃料の消費量も想定の範囲内ではある。
だが、モンスターの襲撃は予想よりも多かった。
恐竜のような比較的大型のモンスターはさほどでもない。
だが、大型犬くらいの大きさの小型モンスターは多かった。
それらが密集してる地域なのか、今までに比べて遭遇する数が多かった。
おかげで襲撃への対応で手間取る事になってしまった。
モンスターの中では小型の部類なので、倒す事事態はそれほど難しくもない。
銃弾一発で行動不能にする事も出来る。
だが、その数が問題であった。
一度に数十体を超える数で襲ってくるのは当たり前。
下手すればそれ以上の数でやってくる事もあった。
それらが一日に数回やってくれば、それだけで時間がとられる。
また、弾薬の消費もバカにならなかった。
行程の途中で持ってきた弾薬の三割以上を消費してしまう。
まだ目的地まで半分近くの距離を残してるのにだ。
このままでは到着する頃には弾薬の大半を失ってしまう。
そうなれば、帰還は困難なものになるだろう。
それを考え、偵察隊は道半ばにして一時撤退を選択せざるえなくなった。




