またこの季節がやってきた
またこの季節がやってきた。
街中で桜の花が咲き誇っている、この季節。
花に劣らず、街の人々の目もきらきらと輝いている。
これからもここで過ごす人、新しくここに訪れた人。
今日もたくさんの人で溢れている。
この風景を見て、ふと思い出した。
君と出会った日も、ちょうど二年前の……この季節だった。
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4月中旬、俺はとある部屋の前で1人佇んでいた。
(ほ、本当にここでいいんだよな……?)
俺は以前、一緒に遊んだりバトルをしたりするチームを結成するのでメンバーを募集する、という掲示を見かけてそのまま応募したのだ。
そして2日前結果発表があり、何とそれに受かっていた。
(めっっっちゃ緊張する…………でも、折角受かれたんだし、ここで引き下がる訳にはいかない……!)
意を決して、中に入ろうと扉を開けた。
と、思ったら既に誰かいるみたいだった。
「(とりあえず何か言わないと…)…こ、こんにちは」
「あっ、こんにちは。初めまして」
その人は俺に気づいて振り返り、返事をしてくれた。
なんて返せばいいのか分からなくて、俺は少し慌ててしまった。
俺のその様子を見兼ねてか、そのまま言葉を続けてくれた。
「えっと、これからよろしくお願いします」
「は、はい、こちらこそ」
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この後は他のメンバーもたくさん集まってきて、一気に賑やかになっていった。
皆で一緒にゲームして遊んだり、色々なところへ出掛けたり、新しい出会いや別れもあって、時には喧嘩したこともあった。
とても充実していたし、何より楽しかった。
そして…………俺もそろそろ、この気持ちに決着をつけないと。
「(あれからもう2年か、時間が経つのってあっという間だな…)」
今日は皆でチーム結成2周年を記念したプライベートマッチの予定がある。ちょっと忙しくて遅れてしまったけど、もう始まってる頃だろう。
「遅れてごめん、まだやってる?」
「あっ来たー!次の試合から一緒にやろ」
「うん」
まだ終わってはないみたいで良かった。
そして集まった皆で記念写真を撮って、たくさん遊んで……日が暮れるまで楽しく過ごした。
「2周年おめでとう、これからもよろしくね」
そう言って、今日は解散した。
………………今年も言えなかったな。
頭では理解しているのに、相手に伝える言葉にすることが出来ない。俺にはそれを言うための勇気もないのかもしれないけど。
「……俺って肝心なところでダメだな」
ため息混じりにそう呟いた。
「なにがダメなの?」
「え?……」
後ろに人がいることに全然気が付かなかった。
しかも……
「……いちご、何でここに?帰るのこっちだっけ」
「ううん、違うよ」
「じゃあ何で……?」
「あのね、伝えたいこと……伝えなくちゃいけないことがあるの」
俺は驚きと少しの疑問を抱きつつ、彼女の方をしっかり見た。
いつになく真剣な表情……が、少し緊張しているような気がするのは気のせいだろうか。
「…………棺、実は私ね…… _________」
なんて言ったのかはご想像にお任せします:D