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大予言者の守護者  作者: 会木 翔
9/12

パーティへの参加

「あ、ルギト殿! それにアイ―ヌ殿も」


 ハルノはルギトとアイ―ヌの姿を見つけて声をかける。説明が面倒なので、キルには剣の姿に戻ってもらった。


「あなたたちが来たという事は・・・・・・」

「あぁ、住む場所が決まったってさ。これから移動するから、荷物まとめて、ここに集まってほしい」

「真か! それでは皆にも伝えてる」


 たた、とハルノは走り去っていく。その場で待機していたルギトたちに、一人の男が近づいてくる。

 その男は初め、ルギトに向けて、何の用で来たのかと問うた男だった。


「ルギト殿。少し良いか?」

「良いよ」


「私の名前は、カイン・ハンという。そして、まずは最初の非礼を詫びたい」


 非礼、というのはルギトに向けて刃を向けた事か。


「いや、それには及ばない。自分たちの住処に、誰とも分からない人間が来たんだ。警戒するのは普通の事。むしろ勝手に来た俺たちが詫びるものだろう」

「私もそう思うわ。だから別にもう大丈夫」

「・・・・・・それを聞いて安心した」


 カインは見るからにホッとしていた。そこまで気にしていたのかと、ルギトは申し訳なく思う。


「最後にもう一つ。ありがとう。我ら一族の呪いを解いてくれて」


 ルギトはその言葉を素直に受け取ることにした。見返りを求めてやった事では無いが、感謝されるのは気持ちが良い。

 それからしばらくして、ようやく全員がルギトの前に集まってきた。


「それじゃあ移動するから。その場でじっとしていてください」


 ルギトは気力を練り上げる。これだけの人数を移動させるのには、相応の気力が必要になる。意外と大変だ。

 気力を練り終わり、ルギトは瞬間移動を使った。


 アイーヌから事前に聞いていた場所に着くと、そこは開けた大地にぼうぼうと生えている雑草、そしてモリ一族全員が住んでも平気であろう数の家々が建ち並んでいた。さらに奥には川が見えている。


「ここは、だいぶ前に飢饉があったの。住んでいた人たちは、私の予知で事前に避難していたから、そんなに影響はないけどね。でも彼らは移り住んだ場所が居心地良かったのか、ここには戻ってこなかったわ。取り壊すのにもお金がかかるし、困ってたところ。ちょっと色々整備されてなくて住みずらいかもだけど」

「いいや十分だ。川もあるし、ここの農地を開拓すれば、我らの毎日の食事に困らないだろう!」


 ハルノの考えは、他の一族皆の総意なのだろう。皆、以前と比べて大きな家と、土地の広さに感激していた。


「それじゃあ俺たちは帰るとしようか」

「そうね」


「あ、二人とも!」


 ハルノの呼び声に、ルギトとアイーヌは振り返る。すると一族全員が頭を下げていた。


「今回は本当にありがとう」


 そうハルノが言うと、他の皆も口々に、感謝の言葉を言った。


「ここ、大切にしてね」


 アイーヌがそう告げ、ルギトは瞬間移動で、この場を移動した。



 サイレン王国の城に着くと、アイ―ヌがルギトに聞いてきた。


「ルギトは今日、時間はある?」

「うん、ご飯の準備をするくらいだから、時間はあるね。何か仕事?」

「一応ね・・・・・・守護者としての仕事を頼みたいの」


「そういう事なら、考えるまでもないよ。それで何をやれば良いのかな?」

「良かった。そうね、まずは着る服を見繕いましょうか」


 アイ―ヌが呼び鈴で、使用人を呼ぶと、彼らの指示でルギトは別室で体のサイズを測ってもらう。そしてすぐにサイズの合う服が用意された。

 ずいぶん立派な服だ。まるで貴族が着るようである。


「・・・・・・うん! 身だしなみはこれで大丈夫かな」

「ほう、似合っているではないか」


 いつの間にかキルが剣から人の形になっていた。


「そ、そういえば、結局この人って何者?」

「そうだった。説明しないと」


 ルギトは、キルがかつて自分が使っていた神物の武器である事を説明する。信じられない様子のアイ―ヌだが、詳しい理由はルギトにも分からない。キルに聞いても、我が優秀だからだ、としか答えない。

 取りあえず、理解はしたアイ―ヌが話を次に進める。


「それで今日の夜、ルギトには慰労会に出てもらいたいのだ」


 慰労会とはつまり、お疲れ様ー、という感じなのだろうか。あまり要領を得ないルギトに、加えてアイ―ヌが説明する。


「サイレン王国では、最近まで他国とのいざこざが結構あってね、貴族たちの働きでそれが落ち着いたから、それを労うパーティのようなものよ」

「良いではないかパーティ。我は知っているぞ。飯食べて踊るだけであろう」

「ま、まぁそうだけど・・・・・・」


 居心地が悪そうに笑うアイ―ヌ。パーティ自体にあまり良いイメージを持っていないのだろうか。


「それなら、俺も行かないとね。いつ始まるの?」

「大体夕暮れ時だから、もう少ししてからかな」


「それならば少し時間があるな。我はこの城を見て回りたいぞ」

「時間を潰すのには良いけど、俺って勝手に城を出歩いて良いの?」

「暇だから私も一緒に行くし大丈夫だよ! 案内もできるしね」

「じゃあお願いするよ」


 剣の姿に戻ったキルを持ち、ルギトはアイ―ヌの後に続いて部屋を出た。

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