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大予言者の守護者  作者: 会木 翔
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武器の性能

 一般的な普通の武器は数多く存在しているが、それとは別に特殊な力を持つ武器も存在する。それらにはグレイ金属が組み込まれている。持ち主の戦う意思を武器に反映させ、強化するためだ。


 人間が作り上げた特殊な武器に含まれるグレイ金属の割合が高いものから順に、最上位級器、上位級器、下位級器と呼ばれ、それは純粋に武器の強さを表していた。


 人間がそれらの特殊な武器を作り出したのは、太古の昔から存在する伝説の武器を見よう見まねで複製を試みたきっかけがあった。

 伝説の武器は、かつて神が使っていたという伝説から神物と呼ばれた。


 神物には、人間では複製が不可能な、グレイ金属の塊が埋め込まれているといわれており、その力は人の想像以上の力を発揮する。



 救世主ルギトが使用していたのもこの神物だという伝説もあるが、それは事実だ。

 ルギトは自身の奇跡の力(フローダ)と、神物を使い世界を救った。




 風絶山の頂上にある岩から現れた一振りの剣。

 これこそがかつてルギトが使っていた神物だ。

 握りしめると、懐かしさがあった。



 ルギトが剣を持つと、周りの土から一斉に緑の芽が咲き始めた。

 この剣の力が、自然の養分を吸い取っていたのだろう。

 剣は輝きを放っていた。


「・・・・・・こんなに、あの剣が喜んでいるなんて」

「分かるのか?」

「分かる。完全にキトー殿を使い手と認めているようだ」


 そうなのか。自分を認めてくれていた事に嬉しくなり、ルギトは剣の腹をなでた。


「心を奪われる訳でも無く、暴走する兆しさえ見えない。完全に制御しているようだな・・・・・・これで我らの使命は終わりだ」

「君たち、モリ一族には面倒をかける」

「・・・・・・知っていたのか。我ら一族の事を」

「昔、知り合いに一人いたんだ」


「モリ一族って、あの?」


 アイ―ヌの問いにルギトは頷く。


 モリ一族とは国に属さず、一族同士の集落で、いくつかの地域で暮らしている。

 彼らは皆、自分たちが主と認めた者からの命を完遂するまでは、一族が続く限り、次の世代にまで引き継がせる。

 過去に一度だけ、ある国の部隊がモリ一族の使命を邪魔しようとした。

 怒った守一族は、その国が滅びる一歩手前になるまで攻撃を加えた。たとえ自身の仲間たちが何人倒れようとも、一族の進撃は止まらなかった。最終的にその地域の一族は滅んだ。

 死をも恐れぬ攻撃は他の国にも伝わり、恐怖した。


 以降、多くの国にとってモリ一族を怒らせる事はタブーとなった。



「良く守ってくれていた。感謝する」

「我らは主の使命を全うしただけだ」


 ハルノはぶっきらぼうに言う。


「それより、キトー殿こそ何者なのか聞いても良いか? お主からは想像以上の力を感じるので、気になっていたのだ」


 ルギトはちらりとアイ―ヌを見る。彼女は納得したように首を縦に振る。


「信じないかもしれないけど、俺の本当の名前は、ルギトって言うんだ」

「・・・・・・そうか。いや、そうなのであろうな」

「信じるのか?」

「我らの使命はアグニ様から受けたものでな。あの剣を扱える人間は、救世主ルギトしかいないと言っていたらしいのだ」


 アグニという者は、ルギトにとって友人でもあった男だ。この時代にはもう生きてはいない。


「そうか。あいつが君たちに頼んでくれたんだな」


「その剣の名前は・・・・・・」

「キルグニル。俺はそう呼んでいた」

「それを知っているのなら、お主はルギト殿だ」


 ハルノは満足そうに頷く。


「さて、では帰るとするか」

「そうだね。それじゃあ掴まってて」

「えっ!」


 ルギトの力をすでに知っているアイ―ヌは黙ってルギトに触れたが、ハルノは困惑したようだ。


「瞬間移動」


 景色は変わり、三人は集落の場所まで戻ってきた。急に現れた三人に住人は驚いている。


「使命は終わったわけだが、君たち一族はこれからどうするんだ?」

「どうするか・・・・・・か。ここも悪くはないのだが、もっと住みやすい場所まで移動するのも一つの考えなのだろうかな」


 ルギトはうーんと考えた。


「それなら、アイ―ヌに相談して、良い場所を見つけて貰えば良いんじゃない、ね?」

「うん? そうね。確かに人が住みやすい場所なら結構余っているわよ」


 王女として国内の土地に、アイ―ヌは詳しい。しかしハルノは黙って首を横に振る。


「すまないが、それはできない」

「どうして?」


 今より住みやすい環境なら、移住した方が良いはずだ。


「我らは一族以外の人と共に暮らせる事はできないのだ。もし暮らしたとしたら、そこに住む無関係な人間に災いが下ってしまう。そういう呪いがかけられている」

「呪い?」


 アイ―ヌは、呪いという単語に馴染みが無かった。


「そうか。だから、モリ一族は今まで人里離れた集落で暮らしていたんだな」


 ルギトは呪いについて何か知っているようであった。


「そういう訳なので、我らは・・・・・・」


「じゃあ、その呪いが解ければどうだ?」

「何っ!?」


 驚くアイ―ヌだが、あり得ないと一蹴する。


「不可能だ」

「違う。俺が聞きたいのは呪いが解けた後の話」

「・・・・・・そんな事ができるなら、我らは喜んでお世話になる。生まれてこのかた、人の暮らしぶりなど見たことがない。皆、それが気になるであろう」


「ん、分かった。それじゃあ君たちの呪いを解くよ。そして色々見て回ろう。世界が広がるから」

「そんな事、できるわけが・・・・・・」

「いいから、ほらみんな集めて」


 半信半疑になりながらも、ハルノは一族全員を集めた。


「全員揃ったね。それじゃあ呪いを解くから、じっとしていてね」


 困惑が一族全員に広がるが、皆言われた通りじっとしていた。


「俺だけなら無理だが、お前なら彼らを救えるはずだ。頼んだぞキルグニル」


 ルギトは、キルグニルをモリ一族に向けた。


「ヒーリング!」

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