第3話 はい、人外です
書き直し………書いてたデータが消える…………ブワッ(´;ω;`)
あぁ……俺は死んだのか。
死んだということはもうソシャゲもできないし夏と冬にあるあの日本一熱い祭りにもいけないのか………そういえば来週発売のMH3rd買えなかったなぁ………それにしても死んでも思考ってできるもんなんだなぁ、つまり此処はあの世ってことか?天国には見えないけど…………
バッ!
そこまで思考したところで目が覚める。
「あれ……死んでない?」
「おはようございます。気分はどうですか?」
「っ!……あんたは俺を斬った!」
「はい、あなたを斬ったのは私です」
「なんて事をして……………あれ俺生きてる?」
「いえ、死にましたよ」
「?…何言ってるんだあんた、こうして生きてるじゃないか」
「いいえ死んでますよ?」
「いやいや、現にこうして「人間として」生きて…………は?」
「すいません、説明が足りませんでしたね。私は確かにあなたを殺したんですよ。人間としてのあなたを」
「おいあんた、さっきっから何を訳の分からない事を言ってんだ?俺はこうして五体満足で動いてるじゃないか」
「わかりました、ちゃんと説明するので黙っていて下さい。まず貴方が何故斬られたのにもかかわらず五体満足で動けているか、ですね。それは私が物理的な肉体を傷つけた訳ではないからです。わかり易く言うと星幽体(アストラル体)を残した貴方の精神体……いえ、正確には違うのですが貴方が理屈的に理解しやすい様に言うとこうなりますね…まぁ精神体というものを斬ったと思ってくれれば良いですよ」
「いや、わかりずらいんだが……わかり易く、簡潔に、それでいて短くお願いします」
「はぁ………要するに貴方の魂と呼ばれるものを斬ったのですよ」
「ん?じゃあ魂と精神体ってのは同一の物なのか?」
「変な所に食いつく人ですね…同一の物ではないのですが説明が難しいので大雑把にわかり易く言ったのですよ。どうしてもと言うならこれから3時間ほどじっくり説明してさしあげますが…」
「いや結構だ!そんな説明をゆっくり聞いていられる状況でもないしな!」
そんな難しい説明を3時間など勘弁願いたい。
俺は難しい話と長い話が苦手なのだ。
「はぁ…ならば口を挟まず黙って聞いていてください。先程"斬った"と言いましたが、正しく言うと"変質させた"ですね。これは見てもらった方が早いです」
そう言った彼女は俺に近づいてきて右手をつかむ。
え…一体何をするつもりなん
ズシャッ
ッ!!!!痛ってぇぇえええええええ!?何しやがるコイツ!?躊躇なく右腕を斬りつけやがったぞ!
「落ち着いてください。皮膚を軽く斬っただけです。一々大袈裟な反応では良いですから自分の腕を見ていてください」
は?何言ってんだこいつは?大雑把?痛いもんは痛いんだよ!1度ならず2度までもズバズバ斬りやがって………
そんなふうに俺が心の中で抗議していると、みるみるうちに出血が止まり10秒とたたず傷が塞がる。
「は………?」
「わかりましたか?」
いや!わかりましたか?じゃないだろ!なんだよこれ!幾ら何でも塞がるの早すぎるだろ!
「これが"変質させた"という事です」
「いやいや待ってくれ、仮にだ、仮にお前が言っていることが本当だとしよう。だったらなんで肉体までおかしな事になってんだよ!変質させたってのは魂の方なんだろ?」
「貴方の魂の変化に合わせて肉体が変化を起こしたからですよ。今の貴方はあなた方の言う…妖怪や幽霊といったものに近い存在になっているんです」
「妖怪や…幽霊?」
「はい」
「いや、それおかしいよな?なんで魂が変化したからって体が変化するんだ?」
「魂と肉体には密接な関わりがあるのですよ。魂というものは簡単に言うと動力炉の様なものなのです。肉体はそれに付属したものと考えて下さい。魂は肉体を動かすために常にエネルギーを放出させています。そのエネルギーを肉体へと分散させることにより生き物は活動する事が出来ているのです。そして変質した貴方の魂は以前よりも出力が強くなっている。それにより回復力や力の強さ、頑丈さなどが上がっているのです。」
理解できましたか?とでも言わんばかりの顔でこちらを見てくる。
いや、わかるわけないだろ…現代医学や生物学とか色々な事が覆るような話………。
そして俺はもう常識的に理解しようとする事をやめた。
そもそも他にも常識では測れない事が起きているのだ、考えるだけ無駄だろう。
「まぁそれはなんとなくわかった(理解したとは言っていない)けど…そもそもなんで俺は斬られたんだ?あんたとは初対面だし斬られる様なことした覚えはないんだが……」
「はい、私個人に恨みというものがあるわけではありません。目撃してしまった、という事が問題なんです。いえ…正確ではありませんね。問題なのは記憶を消すことが出来ないという事です」
「記憶を消す?どういう事だ?」
「そうですね…貴方はこの鬼に追いかけられていました。その時、人を見る事がありましたか?」
「……見てないな」
「それは私がここ一帯に人払いの結界をはっていたからです」
「人払い?」
「はい、普通の人間は、この結界をはった場所を無意識に避けてしまうはずなのです。しかし貴方は何故か我らの術が効かないようです」
「その術ってのはなんで俺には効かないんだ?」
「わかりません。過去にも何人かは貴方のような人がいたと聞いたことがあります。なので特別な体質なのでは?としか言いようがありません。まあ記憶を消せない事は問題ではありますが…正直魂を変化させるほどの問題ではありません」
「そうなのか?」
「はい、貴方は他の誰かが鬼を見た!なんて騒いでも信じますか?」
確かに……誰かが騒いでいてもなんだコイツ?くらいにしか思わないだろうしネットで広げても最終的に情報の海に埋もれてしまうだろう。
「貴方の場合、それに加えてもうひとつ問題があるのです。」
「もうひとつ?」
「貴方は人間であるうちに一般的に妖力や魔力と呼ばれるものを纏ってしまっていたのです」
「妖力?」
「そうです。おそらくはその鬼に影響を受けてしまったのでしょう。そしてそのような人間を見つけた場合2つの手段をとることが決められています。1つめは貴方にとった手段である、魂を変質させこちら側に取り込むというもの、2つめは発見と同時に殺すというものです」
「こ、殺す?」
「はい、何故この様な手段を用いる事を決めているかというと、そういった存在は放っておくと我々の脅威となってしまうからです。殺すといっても既にその存在が我々の脅威になってしまっている場合、という条件があるのですよ。我々もむやみに人を殺したい訳では無いですし、まぁ好んで人間を殺すやつもいますけどね」
「っ………!」
その話を聞いた瞬間急に息が苦しくなる。
そうなるのも仕方ないだろう、あまりにも多くの常識の道から外れた情報を脳に注ぎ込まれたのだ。
「あんたは………一体何なんだ?」
「私ですか?私は………
天狗ですよ」
全部書き直しのやつがわるい