引きこもりの神経は図太い
どうも、ユルスネコフです
暇つぶし程度でも読んでいただけているなら幸いです
楽しんでいただけるよう努力しますので、よろしくお願いします
「―――――ぅぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」
ちょ、ちょっと待てぇぇぇ!!ふざけんなあのくそ爺!!
なんで…なんでこんな上空から落とされてるんだよ!!
「そ、そうだ確かあの爺はどんな能力かわかるようにしてあるって言ってたな!でもどうやってだよ!!あぁ!もうやけだ適当に言ってやる!ステータス!!確認!!メニュー!!開け!!ウィンドウ!!」
適当に言った中に当たりがあったらしく、目の前にステータス画面のようなものが現れた―――――が
「なんでそこに固定されてるんだよぉぉぉぉぉ!!!」
なんてことをしてるうちに地面はどんどん近づき…
あ、これ、もう俺死んだな…短い異世界人生だったな……
次はもう少しやさしい人生を歩みたいものだ
そして――――
「~~~っ!!ふぅ…予想以上にうまく着地出来たんだな…言うほど痛くないや」
なんとか足から着地することに成功し、命をギリギリの所で繋ぎとめた
「あの爺に言いたいことは山ほどあるが、とりあえず今言っても仕方ないし…今度会えたらみっちり説教してやる!っと、それはいいとして、あの画面をどうすっかな」
閉じろとか言えば閉じるのか?開くときがオープンなら閉じるときはクローズ?
ん~…と唸り、どうしよう…ともう一度上を見上げてみると
「あれ、消えてる?んー、とりあえず後回しにして…さっき出した時の言葉を捜してみるか!確かあのとき言ったのは…ステータス、オープン、ウィンドウだったな」
と口に出してみたが、なにも現れない
「じゃぁ、開け、確認?」
ならこっちだろう、と思い期待しながら待ってみたが…なにも現れない
「おかしいな…ステータス確認したいだけなんだが」
すると目の前にあのときの画面が表示された
Name :イサミ
Age :19
Job :元引きこもり
Skill :引きこもりの扉
……ん?これだけ?
「は!?ステータスってこういうもんじゃないだろ!?攻撃力を示すATKとかそういうのを表示してなんぼだろぉぉぉぉ!?」
俺の声が辺りに響き渡り、木霊となって返ってきた
「えー…まじでか…まぁないならないでしょうがないけどさ…がっかり感が否めないな」
はぁ、とため息を付き、今までの異世界に対するワクワクとした高揚感が消え去り、初めて冷静になった
そして初めて現状を悟った
「え゛?」
辺りを見渡せば犬しかばかり、というより犬しか見えない
一体何百、何千いるんだろ…なんて考えていたがすぐに捨てた
「こいつら俺を完全に餌だと思ってやがる」
歯をむき出しにしていかにもおなか減ってますって顔で俺を見てやがる
だがなお前ら!異世界転生した者は最初に軽く無双するのがお約束らしい!ならこのくらいの数なら物の数にも入らんわ!!
「しゃぁ!かかってこいやてめぇら!!!」
それからの俺は蹴って殴ってを繰り返し、辺り一体に群れていた犬をすべて蹴散らした
無双を楽しんだ俺は意気揚々と近くの町に向かって歩き出した
――――――の予定だった
「調子に乗って申し訳ありませんでした!!だからやめてぇえ!!あ、そこ齧らないで!服が破けちゃうぅぅぅ」
数千は居そうな犬の群れに成す術なく俺は蹂躙されていた
今思えば数千の犬じゃなくても2,3匹居れば俺は完全に弄ばれてるだろうな…
てか、またしてもこんなところで異世界生活終了のお知らせか…
俺に異世界で楽しませる気はあの爺には無かったんだな
うん、次は前の世界でいいから平穏な世界に生まれ変わらせてください
「おーいそこの人~、そいつと戯れるのもいいですが、早くしないと門が閉まっちゃいますよ~」
「そんな暢気なこと言ってないで助けてください!!別に戯れてるんじゃないです、襲われてるんです!!」
「そんな馬鹿な、そいつらに攻撃力はありませんよあっても1だからダメージにはならないでしょう?それにそのくらいだったら村の子供たちでも遊びながら倒しちゃいますよ」
ほっほっほ、と笑いながらを行ってしまった
「え?まじで?俺はこのまま置き去り!?ちょっと待てよ…待ってくれ第一村人ぉぉぉぉ!!!!」
俺の言葉は虚しく木霊した
ぐすっ、いいよ別にこいつらの攻撃確かに痛くないし
よく見たら服もぜんぜん破けてないし
そろそろ夜だってんならこのままこいつらで暖を取って寝るからいいよ
あ、こいつら結構暖かいな…これは寝れるわ―――――おやすみ
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