引きこもりが“元”になりました
どうも、ユルスネコフです
出来れば週1くらいで更新したいと思ってますのでこれからもよろしくお願いします
「そろそろ起きんしゃい!」
「やだ」
そうは言ってみたものの誰の声だ?聞いた覚えの無い声だ
もしかして、俺の部屋に誰か侵入したのか!?
うー…目を開けるのが少し怖いな
「ここはお前さんの部屋じゃないわい!儂の部屋じゃわい!!」
は?俺の部屋じゃない?…つか儂?
「そうじゃ、儂の部屋じゃ。じゃからとっとと起きるんじゃわい!」
人様の部屋でグースカ寝てるわけにもいかないか…仕方ない起きるとするか
そうして目を開けてみると
「……爺さん誰?」
全く以って見たことのない白髪の90歳くらいの爺さんがいた
「儂はこの部屋の主じゃわい!それ以上でもそれ以下でもないわい!」
「いやいや、そんなことを聞きたいんじゃなくて…えーと、ここは何処?何時の間に俺はこの部屋に来た?」
そう、俺は自分の部屋であの診断結果が間違っていることを祈りながら時間が過ぎるのを待っていたはずだ
なのに気がつけば知らない人の部屋で寝ていた
色々と意味がわからない状況だ
この場合はその場に居た人に状況を聞くのが捜査の基本だってどこかの警察番組でやってた気がする
「お前さんが儂の部屋に来たのは今から大体2年ってところじゃわい!それとここが何処だかってことじゃが……簡単にわかりやすく言えば、黄泉の門の手前じゃわい」
「黄泉の門?それって確か…」
「そうじゃ、お前さんは死んだんじゃわい!んで、儂が起きるまで介抱してやってたんじゃわい」
そうか、俺死んだのか…
「はぁ!?俺が!?何時!?どうやって!!」
「落ち着くんじゃわい!簡単に説明してやるわい」
爺さんは簡単にと言っていたが懇切丁寧にその時の状況を教えてくれた――――が肝心なことが抜けていた
「じゃぁなんで俺は死んだんだ?今の話だったら俺の命が無くなる可能性無くないか!?」
「なに、簡単なことじゃわい!お前さん、あのサイトに登録したじゃろい?」
「あのサイト…?登録したサイトが多すぎてわからん」
「あれじゃわい『あなたの寿命診断』ってやつじゃわい」
「あのサイトか…確かに怪しさ満点だったけど…もしかしてあのサイトが原因だってのか!?」
あ、ありえない…つまり俺はサイトに殺されたってことか!?
「まぁ落ち着きんしゃい!一応規則だから教えてやるわい。簡単に言うと、あのサイトは死神が運営するサイトなんじゃわい」
「死神?」
「そうじゃい、あのサイトに登録し寿命が診断された者は、何がなんでもその日、その時間に命を狩るという目的で作られたものじゃわい」
「ってーことは、あの診断を使ったから俺は死んだと?」
「そうじゃわい」
「つまり、あの診断を使わなければ俺の寿命はもっと長かったと?」
「いや、お前さんの寿命はあの診断を使わなくてもあと1,2年じゃったわい」
「なんだよそれ!つか、なんでそんなことわかるんだよ!!」
爺さんはさっきまでの余生を楽しんでいるような爺顔から真剣な面持ちの爺顔でこちらに向けてきた
「そのあたりをこと詳しく説明するわい」
爺さんが言うことには何の信憑性の欠片もないことばかりだったが、何故か心にストンと嵌るような感覚だった
納得してしまった…俺が死んだこと、死神の寿命診断のことも
そして、この爺さんもまた死神であることを
「それでなんじゃが、これからどうしたいんじゃわい?」
「……これから?」
何もかもがどうでもよくなっていた俺に爺さんは問いかけてきた
「そうじゃわい、お前さんは死んだ。つまりこれから新しい生を受けるということでもある。じゃからお前さんに問う、これからどんな生を受けたいんじゃわい?」
これから…?
新しい命を貰って、またどうでもいい時間を無駄に過ごす毎日
また引きこもって親に怒られる毎日
……どうでもいいや
「……別にあの世界に未練はないよ、それになんの興味もない」
どうせまたくだらない退屈な時間を過ごすに決まってる
それが俺だしな…変えようがない
なにがどうなろうと俺には関係ない。そんな雰囲気を醸し出していると
「別にあの世界に限定した話じゃないわい」
…………え?
「お前さんはあの世界に転生することしか考えてなかったようじゃが、別の世界でも構わんわい」
「は?え?ってことは異世界…ゲームのような世界でもいいってことか!?」
それなら退屈しない楽しい最高の世界で遊び倒したいな!
…でも、こういう話には裏があるのが常だって聞いた事があるな
「安心してほしいんじゃわい!儂は単にお前さんを転生させろと言われておるからやってるだけでなんの裏もないわい!」
そうか、なら心おきなく……ん?
「そういえば爺さん、俺の心読んでないか?」
「今更か!?さっきから何度もお前さんの心の声に返答しとるはずじゃわい!」
言われてみれば確かに
「死神じゃが、一応は神の一柱じゃからな、読心術の一つも使えんと仕事が出来ないんじゃわい!」
「そうか、死神も大変だね」
まぁどうでもいいけど
「さっき言った通り聞こえてるんじゃわい!」
「それはさて置いて、転生の話だけど」
「さらっと話を流すんじゃないわい!…まぁいい、それでなんじゃわい」
「転生するならやっぱりゲームみたいな世界がいい!そして退屈しない、苦労しない世界がいい!」
「つまり、ゲームみたいな世界で強い自分とそれを盛り立てる仲間がほしいと言ってるんだわい?」
「転生してすぐ死ぬのは嫌だし、周りのやつらが強いのに自分だけ弱いとか嫌だからな!別に最強にしろって訳じゃない、クラスで5位くらいでいいんだ」
最強になったらなったで色々面倒ごとに巻き込まれそうだしな
「わかったわい」
「まじで!?今の話通りにしてくれるのか?」
俺のテンションが上がってる中、爺さんのテンションは低かった
どうした?と顔を覗きこんでみると
「ばかやろうが!!」
「ほぎゃ!!」
思いっきり頭突きされてしまった
「お前さんはなんもわかっておらんじゃな!異世界に転生して楽しいのは自らが鍛え上げた肉体で活躍し、その成果で集まった仲間と楽しく可笑しく冒険するのがいいんじゃろうが!!なんもわかっておらん!!」
「え、あ、お、おう…すまん」
それから3時間に及び俺の異世界感について説教された
「それでどうするんじゃ?」
「普通に異世界転生してもらえれば十分です、はい」
でもどうせなら楽したいな…あっ
「ん?どうした?説教され足りなかったって顔してるぞ?」
全力で首を振っていると
「まぁ、別に楽したいという考えを否定するわけじゃない、まぁ始める前から考えることじゃないがな」
「俺は異世界に行ってなにも力が無ければすぐに死ぬと思ってるから力を求めてるんだよ!確かに最初から高望みしすぎたのは悪かったけどさ…」
「それもそうだな、お前さんみたいなモヤシじゃすぐにおっ死ぬのが目に見えてるな。仕方ないから何か付与してやろう」
まじか!言ってみるもんだな!!
「で!?なにくれるんだ!?」
「なに、と言われてもな…完全ランダムの能力付与だからなんとも言えん!」
「………」
ランダムかよ…
「まぁランダムにもいいところはあるぞ?確立は低いがそれだけで世界を掌握できる能力もある………………中にはゴミみたいなのもあるけど…ボソ」
「そうか!世界掌握か!!ならやってみる価値はあるな!」
最後何か言ってた気がするけど、気にしないでおく
「じゃぁ、そういうことで転生させてもいいか?」
「おう!いいのがあたる様にしてくれよ?」
「ランダムだが、そうなるよう祈っとくさ」
その言葉をきっかけに俺の体は少しずつ消え始めた
「そうそう、一応どんな能力がついてるかわからないと困るだろうからわかるようにしておくから安心してくれ」
「おう!まぁ、なんだ…色々とありがとな。爺さんのおかげで新しい人生は少しは楽しめそうだ」
「そうか…なら精一杯楽しんでくるといい!」
体の八割が消え、俺は一つ大事なことを思い出した
「そういえば爺さん!爺さんの名前ってなんだ?」
「儂か?儂の名前は…オルクスじゃ、覚えておけ小僧!」
「俺は小僧じゃない!俺の名前は―――――――」
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