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イースの大いなる野望  作者: ダメ人間
第二章 特攻野郎Yチーム
14/21

十四. 温泉街の悪夢 その一

『黒川温泉』

 熊本県にある全国屈指の人気温泉地である。

 福岡市より車で下道を3時間ほど走ることで着くことが出来る。


 学校で停学を告げられた日より2日後、阿久竹はバイク『ノーデンス 2号』を走らせ黒川温泉に来ていた。

 『ノーデンス 2号』は特殊装備の無いノーマルバイクであり、ファミレスでの打合せの後、草壁が1日で作り上げた今風のおしゃれバイクである。


(やっと着いた。思ったより時間がかかったな。)


 そう思いながら阿久竹は『2人』して『ノーデンス 2号』から降りた。

 阿久竹は弥生にばれないように一人旅をしようとしたのだが彼女はそれを見逃さなかった。

 あっけなく見つかり説教を受けた。そして「隊長の単独行動は認めません。」とすごく当たり前のことを言われ、1人の女の子を護衛としてつけられたのだ。


 護衛の女の子の名前は花札六華はなふだりっか。15歳である。

 体つきが細いため、か弱い女性のように思われがちだが腕は立つ。また射撃の腕前は一流でメンバー随一である。


「隊長殿!ようやく到着しましたであります!お疲れさまであります!」


 彼女の目上の者に対する言葉使いは独特で阿久竹は一緒にいると少し恥ずかしかった。もちろん目上以外の人たちに対する言葉使いは普通である。

 過去に阿久竹はこの言葉使いを止めてくれといったのだが、理由を聞いてすぐに前言撤回して使用許可を認めた。

 彼女がこのような言葉使いをするのは幼少の頃に見た、とあるアニメの影響であった。


「最後まで諦めずに戦い抜いて約束を果たした誇り高き軍人(傭兵)の言葉使いであります!たとえ他人に馬鹿にされても使い続けようと思うであります!」


 これだけでは阿久竹は納得しなかったが続けて言った言葉で彼は使用許可を認めた。


「この言葉使いをすることで自分も誇り高い軍人であるという気持ちになるであります!何より恐怖を克服できるであります!自分は生きて戦場から帰るためにこの言葉使いを使い続けるであります!以上であります!」


『生きて戦場から帰るため』。この言葉を聞いてしまっては認めざるを得なかった。


 花札六華・・・見た目とは裏腹に高い戦闘能力を誇る女の子。そして目上の者に対して独特な言葉使いをする誇り高い軍人。フルメタルな心でパニックにはならない精神の持ち主である(自称)。ちなみに笹岡の彼女であり熱血コンビである。


※彼女の尊敬する軍人(傭兵)はこのような言葉使いではありません。彼女はどうやらケロケロな軍曹のアニメの影響も受けたみたいであります!


「隊長殿!この日のために自分は翔梧と共に・・・失礼!笹岡殿と共に入浴方法を調査したであります!円滑な入浴をするためには入湯手形を購入する必要があると思われるであります!そのために旅館組合に行くことを提案するであります!」


「・・・わかった『軍曹』殿。その提案を受け入れよう。」


「ありがとうございます!」


 彼女は尊敬するアニメの軍人のように『軍曹』と呼ばれたがっていたので、皆彼女のことをふざけて『軍曹』と呼ぶようにしている。


(この子はとても良い子なんですけど面倒くさいであります!)


 阿久竹は心の中でそう叫んだ。そしてこうも思った。


(っていうか笹岡も自分の彼女を簡単に男に預けるなよ!しかも温泉旅行だぞ!)


 阿久竹は一人旅できなかったイラつきを心の中で笹岡にぶつけた。

 そんなことも知らずに六華は1人はしゃいでいた。


(下見がてらにこれてよかった。今度翔梧と2人きりで来よう。)


 六華は阿久竹護衛の任務そっちのけで、翔梧とのデートプランを立てようとしていた。どうせ襲われることなど万が一にもないと思っているのだ。

 六華の表情を見て察した阿久竹は増々イラついた。


(笹岡。あいつ殺す。マジで殺す。俺を出しにして黒川温泉での下見を六華にさせるつもりだな。)


 笹岡本人はそんなつもりなかったのだが、阿久竹はそう判断し決断づけた。


(俺もいつか弥生と・・・いかん!いかんぞ阿久竹次郎!自重せねば!)


 気を引き締め直し、阿久竹と六華は旅館組合へと向かった。

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